受刑者 社会復帰に懸命 猛暑、コロナ禍の栃木刑務所 

2020年8月14日 07時49分

結城紬のつむぎ手を担う受刑者の作業を見守る大川秀子市長(右)

 栃木市惣社町にある栃木刑務所が十二日、大川秀子市長の視察にあわせて報道陣に公開された。女子受刑者を受け入れる国内最大、関東唯一の施設。コロナ禍に猛暑という逆境のなか、約五百人の受刑者が社会復帰に向けて刑務作業に励んでいた。(梅村武史)
 天井に付いた複数の扇風機が静かに回る刑務作業の工場。マスクを付けた受刑者らは暑さに耐えながら洋裁、金属加工、紙細工などの作業を黙々とこなしていた。
 施設内に十カ所の工場があり、半数の五カ所はエアコン未完備という。室温が三五度を超えるなど規定に達すると作業を中断するルール。今年二月にエアコンが設置されたばかりの大食堂(約四百人収容)が暑さを避ける場という。
 受刑者が休息、就寝する寮にもエアコン設備はない。今のところ熱中症になった受刑者はいないが、四人に一人は六十歳以上で健康への不安は付きまとう。「受刑者にとって熱帯夜は本当に厳しいですね」と担当刑務官は漏らしていた。

刑務所内で生産される医療従事者向けガウン。不織布素材で10月までに2万着の製作を予定している=いずれも栃木市で

 刑務所では、新型コロナウイルスに対応した医療従事者向けガウンの生産を請け負ったり、後継者不足に悩む伝統工芸品「結城紬(ゆうきつむぎ)」のつむぎ手を担うなど社会・地域貢献にも積極的に取り組んでいた。
 視察を終えた大川市長は「コロナに配慮した環境で更生に向けて頑張る姿を見ることができた。刑務所と地域の連携をより進めたい」と話した。
 栃木刑務所は二〇一七年以降、定員割れが続く。このため、密集を避ける配慮はある程度できているという。ただ、岡本昌之所長は「社会不安が高まり、収容者数が増えることが心配」と危機感を募らせていた。
<栃木刑務所> 1872年栃木囚獄として栃木町薗部(現・栃木市旭町)に設置。1906年に女子収容の女監に。79年、同市惣社町に移転。収容定員は655人で現在の受刑者数は501人(8月12日現在)。敷地面積6万4190平方メートル。

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