俳優の渡辺美佐子さん 原爆や空襲被害者の声、朗読劇で語り継ぐ <つなぐ 戦後75年>

2020年8月15日 05時50分

戦時中の様子や原爆で亡くなった同級生について話す女優の渡辺美佐子さん=7月28日、東京・内幸町の中日新聞東京本社で

 
映画、テレビ、舞台で幅広く活躍する俳優の渡辺美佐子さん(87)が、終戦の日に合わせて本紙のインタビューに応じた。原爆や空襲の被害者の声を語り継ぐ朗読劇を34年間、続けた渡辺さんは「年寄りや子ども、女しかいない町に強力なもの(原爆)を投下した。そんなひどいことを、みんなに知ってほしい」と平和への思いを語った。
 東京・麻布に生まれ、国民学校高学年の時に空襲や窮乏生活を経験。その後、疎開した長野県で終戦の玉音放送を聞いた。
 渡辺さんは沖縄戦に動員された女学生を描いた映画「ひめゆりの塔」でデビュー。「最初が戦争映画だったのは大きかった。仕事で(反戦や平和を)教えてもらった」と振り返った。
 1980年に国民学校の同級生が広島の原爆で犠牲になったことを知った。「その衝撃から戦争の残酷さと愚かさを感じるようになった」と、朗読劇を始めた。台本になる資料を図書館で読む中、原爆で犠牲になった息子の遺体を体育館で見つけた母親が、もんぺ姿の胸元を開けて、死んだ子におっぱいを含ませた記述を見つけた。「お母さんは命を息子に注いだ。お母さんの気持ちがすごく伝わってきました」と話す。
 朗読劇「夏の雲は忘れない」は渡辺さんら戦中・戦後初期に生まれた18人の女優で続けられてきたが、高齢化などを理由に昨年を最後に活動を停止した。ただ、長崎市の招待を受け今月30日に朗読劇を行うことが決まっている。

わたなべ・みさこ 1932(昭和7)年、東京市麻布区(現東京都港区)生まれ。実践女子学園高校卒業後、俳優座演劇研究所付属養成所に3期生として入所。「果しなき欲望」でブルーリボン助演女優賞。テレビには「みだれがみ」「ムー一族」「おしん」などに出演。

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