創設の思い引き継ぐ バリアフリーペンション「まついだ森の家」存続へ 安中

2020年8月15日 07時51分

「力を合わせ継承していく」と話す高橋さん(中央前)や中村さん夫妻(左から2、3人目)と、3人を支えるNPO法人メンバーら=安中市の「まついだ森の家」で

 管理者らスタッフの高齢化のため存続が危ぶまれたバリアフリーペンション「まついだ森の家」(安中市松井田町)に若手の後継者三人が現れ、存続に向けて取り組んでいる。障害者の親や福祉関係者が開設して二十四年。新型コロナウイルスの影響で臨時休業を余儀なくされ、再開後も苦境が続くが「力を合わせ、創設時の思いを大切に引き継ぎたい」と前を見据える。(石井宏昌)

◆難病の高橋さん

 「障害のある人、ケアする人が安心してくつろげるのはもちろん、さまざまな立場の人が楽しく交流できる場にしたい」。継承するのは安中市の高橋貴子さん(26)、前橋市で生パスタ製麺・販売「コナリエ」を営む中村実紀さん(42)と会社員の知博さん(42)夫妻=同市在住。コロナ禍の現況を「準備期間」と捉え、引き継ぎや研修を続ける。
 現場スタッフの後継を募っていることを知り、今春応募した。高橋さんは難病で十代後半から闘病を続ける。リハビリを兼ね地元の障害者スポーツ団体などで活動する中で「交流の場」の大切さを痛感した。
 高校生まで認知症の祖母を介護した体験や、自身の入院生活を振り返り「バリアフリーペンションを中心とした交流の場をつくりたい」との思いを強くした。ただ体調面での不安もあり「一人では難しい」とも考えていたという。

◆中村さん夫妻

 その思いをくんだのが、同時期に応募した中村さん夫妻。実紀さんは二十年間、病気で倒れた母親の在宅介護を続けた。会社に勤めながら毎食の食事を用意した。七年前に起業したのも「愛のある食事のお手伝いがしたい」「毎日の家での食事を大切にしてほしい」との思いからだった。
 母親との旅行も難しかったことを振り返り、森の家存続に「できることがあれば」と名乗り出た。高橋さんや森の家関係者と相談し、共に運営に取り組む。
 森の家は一九九六年、横浜市に住む障害者の家族や福祉関係者らが「ハンディがあっても気兼ねなく安心して泊まれる宿を」と開設し、運営母体としてNPO法人を設立。同市から移住した黒羽知代さん(71)らが宿を切り盛りしてきたが、健康上の理由などで今春に一線を退いた。

木々に包まれる「まついだ森の家」=安中市で

◆本格再開へ準備

 存続を願う利用者の声を受け、スタッフ一人が当面の対応として素泊まり限定で続けたが、コロナの影響で春は臨時休業。六月の再開後も予約キャンセルが相次ぎ、利用者は例年の一割に満たないという。
 高橋さんは「常連の方や支援者から応援の手紙もいただき、励みになる。闘病体験も生かせると思う。設立時の思いを大切にさらに開かれた場所にしたい」。中村さん夫妻は「障害があってもなくても同じような立場で、みんなができることで参画し、食事やイベント、宿泊を楽しむフラットな場にしたい」と語る。
 現在はNPO法人理事として支援する黒羽さんは「それぞれ新しい発想やネットワークがあり、奇跡のような出会いと思う。新体制での来春の本格再開を目指して準備を進めたい」と期待を込めた。

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