安倍首相の式辞から「歴史と向き合う」消える 「積極的平和主義」に初めて言及 全国戦没者追悼式

2020年8月16日 06時00分
 安倍晋三首相は15日、全国戦没者追悼式の式辞で、第2次政権発足以降は毎年盛り込んでいた「歴史と向き合う」という趣旨の内容を初めて削った。先の大戦を巡るアジア諸国への加害責任や反省には今年も触れず、政権の外交・安全保障の方針を表す「積極的平和主義」という言葉を新たに加えた。戦後75年の節目にあたり、過去を振り返るよりも、未来に目を向ける姿勢を一層、強く打ち出した。
 首相は2015年の戦後70年談話で「子どもたちに謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」と主張している。追悼式の式辞では昨年まで7年続けて「歴史と謙虚に向き合い」「歴史の教訓を深く胸に刻み」などと述べていたが、今回は歴史を顧みる表現そのものを削除。「加害と反省」については、8年連続で触れなかった。
 一方で「積極的平和主義の旗の下、国際社会と手を携えながら、世界が直面しているさまざまな課題の解決にこれまで以上に役割を果たす決意だ」と、政権の外交・安保方針を示すキーワードを初めて使った。積極的平和主義は国際社会の平和と安定に積極的に寄与していくという意味で用いられ、安倍政権はこの方針に沿って集団的自衛権の行使を可能とする安全保障関連法を成立させるなどしてきた経緯がある。追悼式の式辞に安全保障関連の言葉が入るのは異例だ。
 式辞の構成は昨年と変わらず、戦没者への思いを語った前半部分はほぼ同じ内容。13年と14年の式辞に盛り込まず、批判を受けて15年から加えた「不戦の誓い」は、「戦争の惨禍を、2度と繰り返さない」という例年通りの表現だった。 (井上峻輔)

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