GDP年率27.8%減 リーマン・ショック下回る戦後最悪の落ち込み

2020年8月17日 10時26分
GDP速報値が年率換算で27・8%減となり、記者会見する西村経済再生相=17日午前、東京・永田町で

GDP速報値が年率換算で27・8%減となり、記者会見する西村経済再生相=17日午前、東京・永田町で

 内閣府が17日発表した2020年4~6月期の国内総生産(GDP、季節調整値)の速報値は、物価変動の影響を除いた実質が前期(1~3月)比7・8%減り、3・4半期連続のマイナス成長になった。このペースが1年続くと仮定した年率換算は27・8%減で、リーマン・ショック直後(09年1~3月期)の年率17・8%減を大幅に下回る戦後最悪の落ち込みとなった。(森本智之)
 新型コロナウイルスの感染拡大で4~5月に政府が緊急事態宣言を出したことに加え、各国でも都市封鎖が広がって国内外の経済活動が停滞したことが響いた。
 年率換算のGDP額は485兆円となり、7年3カ月ぶりに500兆円を割り込み、第2次安倍政権発足前の水準に逆戻りした。昨年10月の消費税引き上げで堅調だった内需が失速、回復途上で新型コロナが直撃し、外需、内需とも総崩れの記録的な景気失速が数字で裏付けられた。
 西村康稔経済再生担当相は記者会見し「緊急事態宣言で人為的に経済を止めた影響だ。感染防止と経済社会活動の両立をどう図るかをみんなで考えないといけない」と述べた。

◆コロナ禍で個人消費直撃


 主な項目は軒並みマイナスとなったが、中でもGDPの半分以上を占める個人消費は8・2%の大幅な減少となった。緊急事態宣言で外出や店舗の営業が制限され、自動車などモノの消費から、外食、旅行といったサービス消費まで幅広く悪化した。
 もう一つの内需の柱である企業の設備投資は1・5%減で、2・4半期ぶりのマイナスになった。収益の先行きを懸念して企業が出費に慎重な姿勢を強めた。
 輸出は18・5%の急減。都市封鎖などで海外の経済が停滞したことで自動車などで落ち込み、輸出に計上される訪日観光客の消費が出入国制限によりほぼゼロになった。
 物価変動を反映し、生活実感に近いとされる名目GDPは7・4%減。年率で26・4%減となり、実質と同様、戦後最悪になった。

◆政府の対応ちぐはぐ

 <解説>戦後最悪の落ち込みを記録した4~6月期のGDPは、新型コロナウイルスが日本経済に甚大な打撃を与えたことを裏付けた。5月下旬に緊急事態宣言は解けたが、全国で再び感染者が増加に転じるなど、低迷の長期化が懸念されている。一方で、政府は国民に旅行を促す「Go To トラベル」など「V字回復」を前提にした対策に踏み切っており、ちぐはぐな対応が目立つ。
 内閣府幹部は、7~9月期は個人消費の落ち込みが底を打って「持ち直す」とみる。しかし、政府が全国民を対象に10万円を配る「特別定額給付金」などで一時的に支えた側面もある。逆に、最近は感染者が再び増加に転じて国民の消費意欲に影を落とす。
 働く人たちの景気実感を聞く7月の景気ウオッチャー調査では、数カ月後の見通しを示した指数が3カ月ぶりに悪化。東京都は飲食店に営業時間の短縮を呼び掛け、県をまたいだ移動の自粛を求める自治体も出てきた。経済活動の制約を強いられる中、エコノミストの間では「回復には数年の時間がかかる」との見方も上がる。
 それでも政府は7月22日に「Go To トラベル」の実施に踏み切った。国民の不安が高まる中、性急な消費喚起策に批判が高まり、感染者の多い東京都を対象外にするなど急きょ方針転換。感染防止策の徹底も条件に加えるなどしたが、感染者の増加など裏目に出れば、経済の混乱と低迷に拍車がかかる恐れがある。
 リーマン・ショック時には、実質GDPが500兆円を割った後、元の水準に戻るのに約4年かかった。感染を防ぎながら経済を動かす方策はどうあるべきなのか、日本経済は難しいかじ取りを迫られている。(大島宏一郎)

関連キーワード


おすすめ情報

経済の新着

記事一覧