コロナ療養施設が3カ月たなざらし 五輪用の警察官宿舎を40億円で改修、1度も使われず

2020年8月18日 06時00分

新型コロナウイルス感染者の宿泊療養施設に改修された警察官宿舎の一つ。利用されておらず、敷地は立ち入り禁止で人の姿は見当たらない=東京都大田区で(岡本太撮影)

 
新型コロナウイルス感染者用の暫定的な宿泊療養施設として、国が改修した東京五輪・パラリンピック用の警察官宿舎が完成から3カ月以上使われず、たなざらしとなっている。関係者によると改修費は約40億円。4月の感染拡大時に急きょ整備したものの、東京都はホテル活用を優先。今のところ使うめどは立っていない。(岡本太、木原育子)

◆首相が改修表明

 羽田空港から程近い東京都大田区の運河沿い。積み上げられたコンテナの真横に、灰色や白のプレハブ住宅がいくつも並んでいる。1、2階に、それぞれ小さな窓が6つずつ。入り口はチェーンで施錠され、人の気配はない。
 もともと東京大会の警備にあたる警察官の宿舎として警察庁が整備した。ところが3月、新型コロナの影響で大会が1年延期に。4月、国内の感染者数が急速に増えて医療体制が逼迫すると、安倍晋三首相が「改修して800名規模で軽症者を受け入れる施設を整備する」と表明した。
 改修の対象となった宿舎は大田区、江戸川区、江東区の4カ所。相部屋だった部屋に間仕切りを設けて個室にし、フロアごとにトイレや洗面台も新設した。看護師が常駐するための部屋やナースコールなども設置し、改修は4月末には完了した。警察庁幹部は、施設を運営する都から「一刻も早く」と要請があったと明かす。
 それから3カ月以上、宿舎は療養施設として1度も利用されていない。
 都は当初、風評被害の恐れから、ホテルだけでは宿泊療養先を十分に確保できない可能性があると懸念。ホテルとの調整と並行して宿舎の活用を検討していた。

◆都公募にホテルが名乗り

 ところが新型コロナでホテル利用客が大幅に減っていた影響もあり、都の公募には、200以上のホテル事業者から応募があった。
 廊下が狭く動線の確保が困難な宿舎に対し、ホテルは部屋ごとにトイレがあり、設備も充実。使い勝手や住環境を考え、都はホテルでの宿泊療養を優先的に進めることを決めた。都によると、4月下旬には国から医療施設として活用する案も示されたが、感染エリアの区分けが難しく断念したという。
 都が現在、確保済みの宿泊療養施設として公表しているのは、ホテル8施設1860人分。17日時点で受け入れは287人にとどまる。宿舎は急激に感染者が増えた場合に活用を検討するというが、都担当者は「現時点で使うことは考えていない。保険のようなもの」と話す。

◆五輪前、元に戻す

 宿舎は来夏の東京大会を前に再び改修され、元の姿に戻ることになる。

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