100年前のスペイン風邪に学ぶ? 米論文に注目 「活動制限厳しいほど、経済回復は早い」

2020年8月18日 06時00分
 戦後最大のマイナス成長に直面し、感染防止と経済再開のジレンマをどう考えるか。100年前にスペイン風邪が流行した際に、社会活動の制限がその後の景気回復に与えた影響を分析した米国の論文が注目を集めている。
 「外出制限などの社会的距離の確保を早く徹底的にやって感染を封じ込めた方が、経済の回復は早い」。これが論文の結論だ。
 新型コロナウイルスの流行拡大が深刻化した3月、米連邦準備制度理事会(FRB)のエコノミストらが発表した。スペイン風邪が流行した1910年代後半以降の、製造業の生産などに関する米43都市のデータを比較。人々の活動を早く長期に制限した都市ほど回復も早く、雇用も伸びたという。
 スペイン風邪は現役世代の致死率が高いなど、現代と条件が異なる面も多い。一方で、新型コロナで強権的に都市封鎖を徹底した中国の成長率が、いち早くプラスに転じた例もある。
 著者らは「厳しい活動制限がなされない場合も、感染への恐れがぬぐえなければ(人々は自主的に)消費や投資を減らす」と指摘。国民に行動の裁量を委ねても、先行きの不透明感が残る以上は経済は回復しづらいと説く。
 自由主義経済下で人々の心理に逆行する政策の効果が薄いのは100年たっても変わらない。日本政府による観光支援事業「Go To トラベル」も現状、需要押し上げ効果は限定的だ。
 東短リサーチの加藤出氏は「感染する確率は十分低いと思うなら、補助金を出さなくても人は動く。実効性のある感染対策に注力し、安心感を与えるのが目下、最大の『攻めの政策』だろう」と話す。(皆川剛)

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