政府、支援策は「V字回復」前提 専門家は長期戦を指摘 GDP下落幅戦後最悪

2020年8月18日 06時00分

 2020年4~6月期の実質GDPは前期(1~3月期)比で戦後最悪のマイナス成長に陥った。新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動が一気に縮小。特に個人消費の落ち込みが目立った。しかも最近は感染者が再び増加し、飲食業や観光業者などから「将来の見通しが立たない」との悲鳴が上がる。コロナとの闘いは長期戦になりそうだが、政府の支援策は「V字回復」が前提。専門家からは「当面の低成長を覚悟した対策が必要だ」との声が上がる。(大島宏一郎)

◆売り上げ蒸発

 「いつまで我慢すればいいのか…」。東京・池袋で居酒屋2店舗を経営する高橋洋平さん(42)は嘆く。
 緊急事態宣言が出た4月は休業し、2店で月約3000万円超あった売り上げは蒸発。5月上旬に営業を再開し宣言解除後の6月は客足が戻りつつあったが、「夜の繁華街」を中心に感染が再拡大し状況は一転した。東京都の営業時間の短縮要請が追い打ちをかけ、8月の売り上げは例年の4分の1以下に減ると見通す。
 宿泊業も苦しい。全国約2400の宿泊施設が加盟する日本旅館協会には「書き入れ時のお盆も予約キャンセルが相次いだ」との相談が多く寄せられた。佐藤英之専務理事は「今後も厳しい状況が続く」とみる。

◆姿勢崩さず

 それでも西村康稔経済再生担当相は17日の記者会見で「消費は4~5月が底。6月以降は上向いている」と強調。政府は7~9月期のGDPが前期(4~6月期)比でプラスに転じるとみる。こうした中で政府は7月22日、国民に旅行を促す「GoToトラベル」を開始。V字回復を目指す姿勢を崩さない。
 だが欧米の4~6月期のGDPは米国で前期比年率換算32・9%減、ユーロ圏で同40・3%減、英国で同59・8%減など日本以上に落ち込んだ。訪日観光客の消費もすぐには元に戻らない。

◆5年かかる

 エコノミストの間でも経済の回復ペースは鈍くなるとの見方が大半だ。日銀元審議委員の木内登英氏は「勤務先から休業を求められる人が増えるなど国民の所得が減る中、V字回復は難しい」と指摘。「コロナ前の水準に戻るには5年かかる」と予想する。

感染防止対策をとって営業しているが、客足が戻らない居酒屋=15日、東京都豊島区で

 一方、政府の経済対策は、家賃などの固定費を半年間まかなうため、売り上げが激減した中小企業などに最大200万円を支給する「持続化給付金」など、長期化を想定していない。居酒屋を経営する高橋さんも200万円の同給付金を受け取ったが、人件費など月1000万円超の固定費が必要でこの支援だけでは「足りない」と話す。
 東京商工リサーチによると、コロナ倒産は既に400件超で、飲食業や宿泊業が多い。同社の友田信男情報本部長は「秋以降に追加給付をしなければ、倒産が急増する」と警告する。
 第一生命経済研究所の熊野英生氏も「需要を失った状況が続けば飲食、宿泊業を中心に雇い止めが加速する」と今後を懸念。「給付金や助成金の充実が必要だ」と強調した。

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