「ありえないこと」が現実に 藤井棋聖の2冠王手、ラノベが「予言書」と話題

2020年8月18日 05時50分
 19日から第4局が行われる第61期王位戦7番勝負(東京新聞主催、伊藤園協賛)でタイトル奪取まであと1勝とした藤井聡太棋聖(18)を独特の観点から注目する人がいる。ライトノベル作家の白鳥士郎さん(38)=岐阜県多治見市出身。「10代の将棋タイトル保持者」が主人公の小説「りゅうおうのおしごと!」(既刊13巻)の作者。5年前に書き始めた時は「ありえない」と批判されたが、今では「予言書」と紹介されることもある。

りゅうおうのおしごと!

 「フィクションを超える現実の始まり」。藤井棋聖が最年少の17歳11カ月で初タイトルを獲得した7月16日、白鳥さんがSNSに投稿したこの言葉が話題になった。
 小説では、主人公の九頭竜八一くずりゅうやいちが16歳でタイトルを獲得。白鳥さんは、「最強の棋士」の物語を構想する中で、2つの記録に着目した。歴代最多連勝(神谷広志八段の28)と、タイトル獲得の最年少記録(屋敷伸之九段の18歳6カ月)。ともに約30年間更新されておらず「この2つを破るのは難しいだろうと」。そこで現実の少し上、タイトル記録の更新に絞った物語として書き始めた。

木村一基王位(左)を破り、2冠目のタイトル奪取に王手をかけた藤井聡太棋聖=5日夜、神戸市の旅館「中の坊瑞苑」で

 第1巻が出た2015年当時、藤井棋聖はまだプロ養成機関「奨励会」の二段。白鳥さんも「注目していなかった」が、その少年が史上最年少の14歳2カ月で中学生棋士になると、いきなり無傷で29連勝するなど、次々と記録を打ち立てていった。
 物語の九頭竜も、プロ入り翌年に初タイトルを獲得するが、最初は連敗に苦しむという設定。「藤井先生のデビューから土つかずという記録は想像を超えている。フィクションでもそこまで書けません」

白鳥士郎さん

 最新の13巻で、九頭竜は、2つ目のタイトルに挑戦中。現実でも、王位戦の第4局で藤井棋聖が、2冠を達成するか注目される。白鳥さんは「木村一基王位はカド番に追い込まれてからが強い。まだ勝負は分からない」と名勝負に期待している。(世古紘子)

◆19日から王位戦第4局

 木村一基王位(47)に藤井棋聖が挑戦している王位戦7番勝負の第4局は19、20日、福岡市中央区の大濠公園能楽堂で指される。初日の19日は午前9時に始まり、午後6時で指し掛け、手番が封じる。2日目の20日は午前9時に再開し、夜までに勝負が決まる見通し。対局の模様は東京新聞ホームページでも速報する。

りゅうおうのおしごと! 15歳でプロ入りし、史上最年少でタイトル保持者となった九頭竜八一と、内弟子の小学3年生雛鶴(ひなつる)あいを中心に、奨励会やプロの世界を描く。漫画、テレビアニメ化されている。

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