感染者が出た後の消毒 誰が?どうやって? プロが明かす舞台裏

2020年8月18日 05時50分

新型コロナウイルス対策の消毒作業の様子(武蔵シンクタンク提供)

 新型コロナウイルスの感染が再び拡大する中、医療従事者以外にも最前線で働く人々がいる。感染現場などで消毒作業にあたる特殊清掃業者だ。企業や施設から依頼が殺到し、夜通しで作業することもある。一方、「特殊清掃業は感染リスクが高い」と誤解されがちで、東京都八王子市の「武蔵シンクタンク」社長の塩田卓也さん(49)は「現場のスタッフは、偏見を持たれながらも奮闘している」と訴える。(天田優里)
 特殊な防護服にゴーグル、手袋…。重装備に身を包んだ特殊清掃業者のスタッフは、多くの人が触れるドアノブやエレベーターのボタンなどを薬品を使って清掃していく。感染を防ぐため、基本的に装備品は1つの現場で使い捨てだ。このため「備品が足りなくなっている業者も出てきている」と塩田さんは説明する。

◆業界用語「リーチがかかる」

 日ごろは事件、事故、火災現場などの清掃作業が中心だが、コロナの感染が拡大すると、大手企業などから消毒の依頼が急増した。同社は今年、すでに60件以上を手掛けている。感染が疑われる従業員が出た段階で、企業はコロナ消毒の見積もりを頼んでくる。PCR検査の結果が出るまで数日かかるため、業界内ではこの待機期間を「リーチがかかる」と呼ぶようになった。

新型コロナウイルス対策の消毒作業などについて話す塩田卓也さん=東京都国立市で

 塩田さんは「企業からは見積もりの段階で『数日分のお金を払うから、他の仕事をしないで待っていて』と言われる。感染が判明したら、すぐ消毒して営業再開につなげたいのだと思う」。作業規模が大きい場合、協力会社とチームを組んで、昼夜問わず出動する。
 また、特殊清掃業者は遺体発見現場の清掃も手掛けているが、コロナの影響で孤独死の遺体が見つかるまでの時間が長くなっているという。亡くなって2週間ほどで見つかるケースが多かったが、一般社団法人「遺品整理士認定協会」特別参与でもある塩田さんは「最近は、ほとんど3~4カ月かかっている。かなり異常な状況だ」と話す。コロナで人と人とが直接接触する機会が失われ、異変に気付きにくくなっていることが背景にあると推測される。

◆プロの意地「スタッフで感染者はいない」

 感染現場や遺体発見現場に赴く特殊清掃業者は、差別と偏見に悩むこともあるという。「危ない仕事だと思われがちだが、こちらもプロ。スタッフでコロナ感染者はいない」と塩田さん。コロナ禍で目を向けられる機会が増えたことからも「しっかりと対策をしているという事実を知ってほしい」と話している。

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