GDP戦後最悪 対策の見直しが急務だ

2020年8月18日 07時31分
 国内総生産(GDP)が戦後最悪レベルに落ち込んだ。コロナ禍の打撃が社会全体に及んでいることを裏付けた形だ。「緊急事態」として実施した対策は功を奏しておらず抜本的見直しが急務だ。
 今回の統計でより深刻なのは、GDPの半分以上を占める個人消費が、前期比8・2%減と予想通り大幅に悪化したことだ。経済の流れを支える消費活動が前例にない水準で落ち込んでいるとみていいだろう。
 観光関連や外食だけでなく、自動車や電気製品など耐久消費財も含めたほとんどの分野で消費は著しく落ち込んでいる。輸出も低迷している。このため生産から小売りまで、多くの企業の経営が日増しに悪化していることは確実だ。
 このまま新たな手を打たずにいれば、企業倒産がさらに増えてそれが深刻な雇用問題につながるという負の連鎖が急速に広がっていくだろう。
 ここで指摘せねばならないのは、政府の対策が現実とずれているという点だ。感染の再拡大が始まっている中で強行した「Go To トラベル」や「アベノマスク」の配布はその典型例だ。双方とも大半の国民は明らかに望んでいなかった。とりわけ「Go To トラベル」には一兆三千五百億円の巨費を投じつつある。
 緊急を口実に行った現金給付もマイナンバーとのひも付けにこだわり混乱した。中小企業や個人事業主支援のための持続化給付金も業者選定問題が浮上した揚げ句、実施の遅れが目立った。政府がコロナ禍での暮らしの防衛に、どれだけ緊張感を持って対応したのか疑わざるを得ない事態だ。
 今後、最も留意すべきなのは立場の弱い非正規労働者や若者の新規採用も含めた雇用情勢だ。特に中小零細企業の多くは、業態にかかわらず相当な困難に直面しているはずだ。
 本年度は二度の補正予算を組んだが、まだ十兆円規模の予備費がある。三次補正も視野に入れつつ、効果的な中小企業対策を改めて早期に行い雇用崩壊を防ぐべきだ。さらに地域の企業を金融面で支える地方銀行や信用金庫、信用組合への手厚い配慮も求めたい。
 財政面での苦しさは理解できる。だが当面は躊躇(ちゅうちょ)なく対策を打つことが最優先だ。
 そのためにも政府はタイミングを外した取り組みをいったん停止し、最も効果的な予算配分に向け対策を練り直すべきだ。 

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