<コロナと生きる@いばらき>盲点だった「昼カラ」 那珂で高齢の利用客ら、相次ぐ感染

2020年8月18日 07時43分

高齢の利用客らの感染が相次いだ「カラオケはる」=那珂市戸崎で

 新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生した那珂市戸崎の「カラオケはる」。日中に飲食しながらカラオケを楽しめる「昼カラ」の店だった。十七日現在、同店関連の感染者は十四人。バーやキャバクラなど「夜の街」の監視を強めていた県にとっては、高齢者も集う地域の憩いの場は盲点だった。 (出来田敬司)

■入場料1000円

 県植物園にほど近い農村部。畑と木立の中に古い家屋が点在する。問題のカラオケ店は建築会社の製材に囲まれるように立っていた。
 店の看板は外れ、店名は判別できない。入り口付近の観葉植物や電飾だけが、利用客をもてなそうとする店の心遣いを感じさせる。
 長兄が店舗を貸しているという近くの建築業の男性(65)の話では、店の広さは約四十平方メートル。入り口の右手にバーカウンター、左奥にはステージがある。テーブルが数卓置かれ、約二十人を収容できるという。
 既に閉店したとみられるが、入り口の扉には「ドリンク一杯付きで入場料千円」の表示が残る。営業時間は午後一〜五時、同六〜十時と記されていた。
 この建築業の男性は「昼間の営業は原則、ソフトドリンクのみの健全な店。歌うのが好きな高齢者でにぎわっていた」と証言する。近所の七十代男性は「私は利用したことがないが、六十〜八十代の高齢者が訪れているようだった。車が何台も止まっていることもあり、人気店だったのではないか」と指摘した。

■90代の男性

 店で最初に陽性が判明したのは今月三日、常陸太田市に住む九十代の男性客だった。県は六日、栃木県で感染が確認された男性歌手に由来する感染者が複数発生しているとして店名を公表。女性店主や利用客の感染が次々と明らかになった。
 昼カラがクラスター化する事例は札幌市や北海道小樽市、千葉県佐倉市、北九州市など全国各地で確認されている。スナックが日中の集客を狙って営業したり、喫茶店がカラオケ機器を設置するなどの業態が多い。いずれも主な客層はカラオケ好きの高齢者だ。
 県内の昼カラがクラスター化したのは今回が初めてだが、県内に昼カラがどの程度あるのかは「把握していない」(県疾病対策課)。六月二十日以降の感染「第二波」では、水戸市のキャバクラでクラスターが発生。県は、同市の繁華街で「PCR検査ローラー作戦」を展開中だった。

■妙案なし

 県疾病対策課の担当者は「これまでは『夜の街』が危ないとみられていた。しかし、昼カラでも唾液が飛び、細心のエチケットが求められる。注意を促すアナウンスがあまりなかったのは事実」と認める。
 那珂市の店を管轄する県ひたちなか保健所の担当者は「感染といってもこちらがチェックするのは、主に食品衛生で、食中毒やノロウイルス、O157が主。(コロナのように)人から人への感染は、あまり想定していなかった」と打ち明ける。
 県としては他の飲食店と同様に、感染防止策の徹底を呼びかけていく方針だ。裏を返せば、これといった昼カラ対策はないということでもある。県疾病対策課の担当者は言う。
 「歌を歌う際の感染は一般のカラオケ店でも起きており、昼カラが特別なわけではない。『三密』を避け、しっかり手指消毒をし、飛沫(ひまつ)感染に気を付けてもらうしかないのではないか」

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