分娩中 マスク必要?産婦「ただでさえ苦しいのに」 いきみで飛沫 感染リスクも

2020年8月18日 14時00分

マスク姿の妊婦

新型コロナウイルス対策として、分娩中の産婦にマスクを着用させる医療機関の対応が、インターネット上で議論になっている。体験者は苦しさを訴え、胎児への影響を懸念する声も上がる一方、感染リスク低減のため不可欠との意見も多い。専門家は、母体や胎児が酸素不足に陥る危険性はないと指摘。ただ、産婦のストレスや不安にも配慮し「各現場で柔軟に対応してほしい」と話す。
 7月中旬、産婦人科を訪れたとみられる女性の投稿写真がツイッター上で話題となった。「分娩時のマスク着用をお願いします」と記された張り紙。女性が「酸欠にならない?」とコメントすると、「ただでさえ苦しいのに」「院内感染を防ぐために必要だ」と賛否の議論が巻き起こった。
 東京都の病院で5月に長女を出産した女性(26)は自らの体験談を投稿した。取材に対し、仕方ないとする一方「陣痛が始まって息が荒くなり、マスクを着けるとさらに苦しくなった」と振り返る。病院側には、陣痛が始まったという連絡をした際に初めて指示されたといい、「事前に説明してほしかった」と語る。

◆全国64%の施設 着用要望

 日本産科婦人科学会が新型コロナの影響について尋ねた5月のアンケートによると、調査に協力した全国の766の分娩施設のうち、64%がマスク着用を求めていると回答。学会は、医療従事者と産婦の双方がマスクを着ければ感染リスクは下がるため「可能な限り協力を」との立場だ。
 年間約1000件の分娩を扱う東大病院は4月からマスク着用を求めている。出産前に全員のPCR検査をするが、偽陰性の可能性があることを考慮。担当者は「陣痛を和らげるための大きな呼吸や、分娩時のいきみで大量の飛沫が出る。感染が沈静化するまではお願いしたい」と話す。
 一方、埼玉医科大病院は「苦しい」との訴えを受けて方針を転換。出産間近のPCR検査で陰性なら着用を求めていない。医師や助産師はサージカルマスクや防水ガウン、フェースガードを着けて対応している。産婦人科の亀井良政教授は「何が正解かは分からない。感染状況を見ながら、できる対策を徹底するしかない」と語る。
 助産師資格を持つ市川香織・東京情報大准教授(母性看護学)は、マスク着用は必要とした上で「コロナ禍により、妊婦は今までにない不安やストレスを抱えている。医療機関側はマスクの必要性を丁寧に説明し、手厚い声掛けをするなど、いつも以上に寄り添った対応をしてほしい」と強調した。(共同)

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