「夜の街の若者」強調しすぎて中高年に気の緩みか 重症者増える大阪 医療体制に危機感

2020年8月19日 06時00分
記者会見する大阪府の吉村洋文知事=4日、大阪市

記者会見する大阪府の吉村洋文知事=4日、大阪市

  • 記者会見する大阪府の吉村洋文知事=4日、大阪市
 新型コロナウイルスの全国的な感染が続く中、大阪府や沖縄、福岡県などで重症者が増えている。重症者向け病床には限りがあり、増加傾向が続けば医療体制が逼迫ひっぱくする恐れがある。専門家は「感染予防の基本を徹底し、新規感染を抑えることが重要だ」と呼びかけている。(木谷孝洋)

◆重症者病床の使用率4割に迫る

 大阪府の吉村洋文知事は14日、記者団に「重症者は70代を超えると亡くなる方が多い。高齢者にうつすと命を失うと強く発信していかなければいけない」と話し、警戒感を強めた。19日に、府の対策本部会議を開いて重症者対策などを協議する。
 府内の重症者は17日時点で70人。4月中旬の第1波のピークだった65人を上回る。
 重症者は治療に手間や時間がかかり、専門的なスタッフも必要となるため医療機関の負担も大きい。府は重症者向け病床を188床確保したというが、使用率は4割近い。府の独自基準「大阪モデル」で警戒を呼びかける黄信号が点灯した7月12日時点の2・7%(重症者5人)から1カ月余りで急増した。

◆知事のメッセージが緩み招く?

 重症者増加の要因の1つが、介護施設や医療機関でのクラスター(感染者集団)の発生だ。7月下旬以降、大阪市や八尾市など10カ所以上の高齢者施設でクラスターが起きた。高齢者は若者に比べて重症化するリスクが高く、死亡する割合も高い。14日には府内で5人の死亡が確認された。
 聖マリアンナ医科大病院(川崎市)の国島広之・感染症センター長は「大阪で70人の重症者はかなり厳しい印象だ。新型コロナの重症患者で集中治療室(ICU)が埋まると、他の疾患を持つ救急患者に対応できなくなる恐れがある」と指摘する。
 大阪の行政取材を続けるフリージャーナリスト吉富有治氏は「吉村知事は『夜の繁華街』で若者の感染が広がっていると強調したが、メッセージの出し方が間違っていた」と話し、中高年の気の緩みにつながった可能性を指摘した。また、「11月に大阪都構想の住民投票が想定され、市中感染が広がっているのに府民への(注意喚起の)メッセージが甘くなった結果、重症者が増えているのではないか」と話した。

◆沖縄、福岡も 家庭内感染増える

 大阪以外でも、沖縄県が19人、福岡県が21人と重症者が増えている。家庭内感染も一因といい、沖縄県地域保健課の担当者は「第2波の当初は20代、30代の感染者が多かったが、その後、家庭で高齢者に感染が広がるケースが増えている」と分析。福岡県の担当者は「感染者の母数が増えれば、ある程度、重症者が出てくるのは避けられない」と話す。
 国際医療福祉大の和田耕治教授は「重症者を減らすには、新規感染者を減らすことが必要。具合が悪いときは外出しない、『3密』の状況を避けるといった基本を徹底することが重要だ」と強調した。

関連キーワード

PR情報

社会の最新ニュース

記事一覧