ハリスに仕えた少年の巻 幕末の下田、漫画「助蔵物語」に

2020年8月19日 07時48分

完成した「助蔵物語」を紹介する杉本武さん=下田市で

 幕末に日本初の米国領事館が設置された下田市で、総領事に仕えた西山助蔵(一八四二〜一九二一年)の生涯をたどる漫画「助蔵物語」が完成した。文献や子孫らへの聞き取りを通して人物像に迫った作品。横浜市の貿易会社経営杉本武さん(58)が原作シナリオ、漫画家荒木浩之さんが漫画を手掛け、二年がかりで作り上げた。二十一日に発売する。(山中正義)
 助蔵は農家の長男として生まれ、十四歳のころ、盟友の村山瀧蔵(たきぞう)(一八四二〜一九一八年)と一緒に、領事館が置かれた玉泉寺でタウンゼント・ハリス総領事と通訳のヘンリー・ヒュースケンに仕えることになった。ハリスは日米修好通商条約を締結したことで有名だが、同時代に住み込みで総領事に仕えた下田の少年たちのことは、あまり知られてこなかった。
 物語は、領事館で働くようになった経緯やそこでの経験、後に「唐人お吉」として知られる下田芸者の斎藤きち(一八四一〜九〇年)との出会い、退官後の人生に迷う姿など、助蔵の数奇な運命をコミカルに描く。途中には、チョコレートを初めて女性から贈られた日本人が助蔵かもしれないことなどを解説する「こぼれ話」も盛り込んだ。
 A5判の全二百五十ページで、七百部を印刷。税別千八百円で、書店やインターネットなどで販売する。
 杉本さんは五十代で下田市を訪れて以来、「風情が気に入った」と下田を度々、訪れるようになった。歴史にも興味を持ち、これまでもお吉を題材にした書籍などを出版してきた。お吉について研究する中で、助蔵らの存在を知り、漫画化することを思い立ったという。今回が自身にとって五作品目となる。
 今月十二日、杉本さんは下田市教委を訪れ、完成した漫画や、漫画のイメージソングを収録したCDなどを寄贈した。市内の全小中学校と図書館で活用してもらうという。
 杉本さんは「助蔵たちのことを知っている人は少なく、彼らの役割を伝えたかった。どうたくましく生きたのか知ってほしい。下田のファンを増やす一つのきっかけにもなれば」と願っている。

初代米国総領事らに仕えた西山助蔵の生涯を描く「助蔵物語」


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