熱気、コロナ、郵便投票…バイデン氏、大統領当選への3つの懸念

2020年8月20日 06時00分
 米大統領選に向けた民主党大会で18日、バイデン前副大統領(77)が党候補に正式指名された。共和党トランプ大統領(74)に支持率で先行しているものの、新型コロナウイルスで異例のオンライン開催となり、盛り上がり不足は否めない。コロナの脅威が続く中、政権奪取に向けて課題は多く、先の見えない戦いを強いられている。 (ワシントン・金杉貴雄、白石亘)

18日、オンラインの米民主党大会で大統領候補に正式指名され、モニター画面に映し出されるバイデン前副大統領(左)とジル夫人=ゲッティ・共同


◆仮想花火

 「私にとってこの上ないことだ。(受諾演説する)明後日また会いましょう」
 指名の瞬間、バイデン氏は党大会開催地の激戦州ウィスコンシン州ではなく、地元デラウェア州の妻ジルさんゆかりの学校にいた。そこには何千人もの支持者の姿も大歓声もなく、映像で仮想の花火が上がった。
 バイデン氏が抱える最大の悩みの一つが、支持者の熱気不足だ。党大会を開催し勢いをつける思惑だったが、目算は完全に狂った。
 東部ニューハンプシャー州の代議員マウラ・サリバンさん(40)は「オンラインの党大会には懐疑的だったが、全米の代議員とSNSで交流できて刺激的だった」と前向きにとらえる。
 だが、トランプ氏は「バイデンは自宅の地下室にいて出てこない。演説は全て録音だ。胸が躍ることは何もない」とあざけり、17日には地元から動かないバイデン氏に当て付けるかのように、ウィスコンシン州に乗り込んだ。
 世論調査によると、バイデン氏は全米支持率平均で6月下旬にトランプ氏に10ポイント差をつけていたが、2カ月弱で7.6ポイントと縮小。CNNテレビの調査では4ポイント差で「誤差の範囲になった」と指摘している。

◆コロナ対策で優位狙うが…

 新型コロナは今後の情勢を最も左右する。米国の死者は17万人を超え、米メディアによると米国人の死因で心臓病、がんに次ぐ3位に相当する水準に上昇。ワシントン大は「死者は11月1日までに25万人を超える」と予測する。
 バイデン氏は18日、ツイッターで「トランプ氏にはコロナを制圧する計画がない。彼の失敗で国民の命が犠牲になっている」と批判。もっぱら敵失で戦いを優位に進める構図だ。
 一方、トランプ氏は切り札としてワクチンに期待する。今月6日には投票日の前に実用化できるか問われ「場合によっては可能だ」と語った。実現性は不明だが、仮に同氏のシナリオ通りに進めば、本選直前の10月に起死回生の「オクトーバー・サプライズ」が起きる可能性も否定できない。

◆どうなる郵便投票

 新型コロナの感染懸念のため急増するとみられる郵便投票を巡る攻防も、勝敗に決定的な影響を与える可能性がある。
 郵政公社は6月、トランプ氏の巨額献金者が総裁に就任し、赤字削減を名目に経営合理化を開始。7月末には各州に「郵便投票の配達が間に合わず大量の無効票が出る恐れがある」と警告する書簡を送った。
 NBCニュースなどの調べでは、バイデン氏支持者の47%が郵便投票を利用すると答えたのに対し、トランプ氏支持者は11%のみ。仮に大量の無効票が出た場合はバイデン氏の得票が大幅に減り、リードが吹き飛ぶ恐れがある。
 民主党は郵政公社への予算計上を求めるが、トランプ氏は「郵便投票は不正が起きやすい」と反対しており、なりふり構わぬ戦いは激しさを増している。

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