政府は経済を重視 沖縄での緊急事態宣言にはうしろ向き

2020年8月20日 06時00分
 加藤勝信厚生労働相は19日の衆院厚生労働委員会で、新型コロナウイルスの感染拡大を巡り、政府分科会が示した最も深刻なステージ4(爆発的感染拡大)の複数の指標を上回る沖縄県への緊急事態宣言発令について「あくまでも目安だ」と慎重な姿勢を示した。重症化する患者も急増しているが「感染症防止対策をしながら、経済の再生をしっかり図っていくことがまず大事だ」と景気回復を重視する意向をにじませた。
 野党共同会派の小川淳也氏(無所属)は、自治体が外出や営業の自粛要請をする際の判断基準に関し、政府分科会が従来の厚労省見解より緩やかな数値を採用したと指摘。「基準に合わせて感染を抑え込むのではなく、現状を追認している」と批判し、沖縄県に宣言の発令を求めた。
 加藤氏は「ウイルスのことが分かってきたから、それに応じて変えているだけ。新規感染者数を抑える一方、経済的なダメージを最小限にするのが目標だ」と反論。「専門家の意見も聞きながら判断する」と述べるにとどめた。
 政府はステージ4について、新型コロナ特措法に基づく緊急事態宣言が必要な状況としていたが、宣言の発令などより強力な対応に否定的な立場。4~6月期の国内総生産(GDP)実質成長率が戦後最悪の年率27.8%減を記録するなど経済の悪化は深刻で、軸足を景気回復に置く。
 野党側は観光振興策「Go To トラベル」の対象から沖縄県を除外することも要請したが、御法川信英国土交通副大臣は県側の意向を理由に拒否した。
 衆院厚労委の閉会中審査は7月1日以来、約1カ月半ぶり。20日には参院厚労委で新型コロナ関連の審議が開かれる。 (横山大輔、坂田奈央)

◆尾身会長は「実効再生産数」で感染下火と主張

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身おみしげる会長は19日の衆院厚生労働委員会で「沖縄で感染が広がり、負荷がかかっているのは事実」としながらも、1人の感染者が平均何人にうつすかを示す実効再生産数を持ち出し、沖縄県では1を下回りつつあるとして「個人的な見解では、感染は下火になっている」と述べた。
 実効再生産数は、医療の切迫度などを直接表す数字ではなく、都道府県の感染状況を4段階で示す政府分科会の指標には盛り込まれていない。岡山大の津田敏秀教授(環境疫学)は取材に「感染者数や重症患者数などが現在の状況を示すのに対し、実効再生産数は長期的な動向を考える指標」と説明する。
 政府分科会の指標として使われていない理由について、津田氏は「分かりにくい数字だから。1を下回っていないなら、感染状況は悪いままか悪化していくばかりだ」と話す。

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