<ふくしまの10年・コットン畑は紡ぐ>(8)誰かの希望ともす仕事

2020年8月20日 07時51分

「天空の里山」に太陽光パネルを設置した島村守彦さん=いわき市で

 いわき市四倉町の「天空の里山」に一昨年、活動拠点となる小屋「天空の家」ができた。電力は太陽光でまかなう。パネルを設置したのは島村守彦さん(62)だ。島村さんは二つの大震災を体験している。
 一九九五年の阪神大震災の時には兵庫県にいた。クレジットカード会社に勤めていて、震災で亡くなった人の名簿の中から顧客を捜した。命や人生について深く考えるようになった。
 「悔いのない生き方をしたい。ライフワークを見つけたい」と、仕事を辞めていわき市に移住した。転勤で住んだことがあり、好きな街だった。
 始めたのはオール電化のリフォーム業。兵庫で近所に住んでいた関西電力社員が震災後、ガス復旧前から自宅で風呂に入っていた。その家がオール電化だったことで関心を抱いた。
 「顧客は大熊町が一番多かったかな。東電さんは優遇制度もできたし」。福島第一原発がある大熊町には東京電力や関連会社の社員が数多く住んでいた。
 太陽光パネルの設置も請け負うようになった。「こらええわ、と思っていたら3・11になった。顧客が全部いなくなっちゃった」
 太陽光発電でつながりのあった人から、被災地支援をしてはどうかと電話があった。仮設住宅などで太陽光パネルを設置して街灯などをともした。
 原発事故で生じた耕作放棄地などでオーガニックコットン(有機栽培綿)を育てる取り組みを始めていた吉田恵美子さん(63)らと二〇一二年に出会い、持続可能な未来に向けて「いわきおてんとSUNプロジェクト」を一緒に始めた。
 島村さんは、東日本大震災で二度目の転機を得た。「自分のためのライフワークから誰かの希望につながるライト(ともす)ワークに目標が変わりました」
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