ペコがいた事、忘れないで 三島駅の不二家 37年の歴史に幕

2020年8月20日 10時54分

「幸せだった」と目を細める不二家三島ステーション店のオーナーの原田さん=いずれも三島市のJR三島駅で

 三島市のJR三島駅構内のレストラン「不二家三島ステーション店」が二十日に閉店、三十七年の歴史に幕を下ろす。「頑張るみんなを応援しているよ」。店頭には看板娘「ペコちゃん」が語りかけるメッセージが掲げられている。オーナーの原田重利さん(72)=同市=の感謝の言葉だ。これを読んだ駅や店の利用者が「涙が出た」などと会員制交流サイト(SNS)のツイッターに投稿、話題になっている。(渡辺陽太郎)
 開店は一九八三年。市内の不二家の別店舗に十五年勤めた原田さんがオーナーになった。店は駅を南北に結び、新幹線や在来線に乗り換える通路脇にあり、ビジネス客や駅近くの中学、高校、大学生らが利用しにぎわった。
 調理も接客もこなす激務だったが、常連客がたくさんできた。中高生からは勉強や部活動、人間関係などの悩みを聞き「頑張れ」と励ました。学校を卒業し、社会人になっても通う人たちもいる。「この仕事が好きだから激務も平気だった」と誇らしげだ。
 今年一月、体力的な問題から引退を考えた。長男が「店を継いでもいい」と言ってくれたため、いったんは、もう一年頑張ろうと考え直した。だが新型コロナウイルスの感染拡大で利用者が激減、売り上げも通常の10%ほどに。緊急事態宣言解除後、客足は回復したが、収束が見通せないため、閉店を決めた。

店頭のペコちゃんが語るメッセージ

 メッセージは長男と一緒に考えた。「ペコが来た時、子供だったみんなも立派な大人になって、ペコの身長を追い抜いていったもんね」「ペコが三島駅にいた事みんな忘れないでほしいな」「暑い日も寒い日も雨の日も頑張るみんなを応援しているよ!」など、成長した利用者への感謝やエールが記されている。
 閉店を知った常連客が連日、原田さんに会いにくる。三十年通ったという三島市内の会社経営の男性(64)は「本当に温かな店だった」と閉店を惜しんだ。原田さんは「理想の店。幸せだった」と目を細めた。引退後は、支えてくれた妻や子どもに、これまでの恩返しをするつもりだ。

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