雪上の練習できない コロナで揺らぐ北京冬季五輪への道

2020年8月21日 06時00分
ジムなどを使って国内での調整が続くスノーボードHPの戸塚優斗(左)

ジムなどを使って国内での調整が続くスノーボードHPの戸塚優斗(左)

  • ジムなどを使って国内での調整が続くスノーボードHPの戸塚優斗(左)
 新型コロナウイルス禍は、冬季五輪を目指す活動にも影響を及ぼす。2022年北京五輪のプレシーズンとなる20~21年シーズンは各種大会の開催が不透明で、スキーやスノーボードの海外遠征も各国の入国制限などからままならない。再開の道筋が一部で見え始めたが、選手は雪上から遠のいている。(中川耕平、上條憲也)

◆練習できない

 「こんなに長い間、滑ってないのは初めてのこと」
 スノーボードの男子ハーフパイプ(HP)で2年前の平昌冬季五輪に出場した18歳のメダル候補、戸塚優斗(ヨネックス)が嘆く。2月に米国であったUSオープンで日本選手4人目の優勝を飾ったが、世界的な感染拡大でほどなくシーズンが終了した。

◆海外に行けない

 雪上競技の選手はこの時期、施設が充実し雪が残る海外を拠点に合宿を行うことが多い。HP陣は例年は南半球のニュージーランドで調整してワールドカップ(W杯)開幕を迎えるが、今季は開幕戦が白紙。来年のUSオープンも中止になった。
 フリースタイルスキーのHPもニュージーランド遠征がなくなった。強化指定選手の高橋佳汰(オセアンスキースノーボードク)は「練習拠点に行けない。しかも五輪の選考が始まる年に…」。津田健太朗コーチは「世界の情勢がどうなるか」と、欧州遠征と12月の米国でのW杯再開を待ちながら、動画やオンラインを活用して選手指導を続ける。

◆ライバルは練習中

 統括する全日本スキー連盟の皆川賢太郎競技本部長は17日の会見で、今月末から強化指定選手らの海外合宿を解禁すると発表した。まずはアルペンスキーから、遠征先は現時点で、日本などからの入国制限が7月に解除されたスイスに限定。
 9月以降にモーグルなどを計画するが、オーストリアや北米が拠点のHPやスロープスタイル、ビッグエアなどはまだ想定していないという。「欧州諸国は国をまたぐことがすでにできており、ライバルは雪上合宿をやっている。われわれはなかなか氷河という環境を手に入れられない」と苦しい胸中を語る。
 まずは強化指定入りへのアピールが必要な選手層も不安を抱える。W杯の下部大会に出場予定のスキーHP女子の寺沢日和(ひより=尾瀬ク)は「W杯がどうなるか分からない状況では、下の大会も先が見えない」。

◆五輪の開催は?

 各種大会がコロナ禍に影響される中、来年に延期された東京五輪から半年後の22年2月に予定される北京冬季五輪の開催を危惧する声もある。国際オリンピック委員会(IOC)の古参委員のパウンド氏は7月、東京五輪が仮に中止なら北京五輪も開催が困難になるとの見解を示した。
 ノルディックスキー複合で五輪2大会連続銀メダルの渡部暁斗(北野建設)は「北京に関してはあるかないか信じられない部分はある」とした上で、「なかったらなかったで、そこまでのプロセスを楽しめたということでいいのかなと思えるような毎日にしたい」。悲願の金メダルを目指し、フォーム改良の試行錯誤を続けているジャンプ女子の高梨沙羅(クラレ)は「自分なりにできることをつなげて、前向きでいなきゃいけない」と、コロナ禍の収束を願いながら調整を続ける。

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