細やかさ/新聞ルール/逃げられない

2020年8月21日 08時01分

米田怜央(28歳)整理部  

◆細やかさ

 一般になじみのない整理部の名前は、ニュースを整理することが由来。見出しを考え、記事の扱いを決め、最終的な紙面を形づくっている部署だ。
 異動直後に驚いたのは、その細やかさ。見出しの大きさは十数種類あり、先輩は記事内容からすぐに「この見出しは5倍(サイズ)。明朝体で」と判断する。見出しに漢字が並んで読みづらい場合は、字間を少しだけ広く調整。写真もミリ単位で指定する。頭がクラクラした。
 そんな自分も三年過ごすと、多少はそんな目線を手に入れた。他紙を読んでも「この見出しは分かりにくい」「写真はもう一段大きい方が」。むしろ、記事に集中できなくなったかも。

◆新聞ルール 

 見出しは短く、分かりやすくが基本。言葉の省略も必要だが、ひとりよがりになっていないか、いつも自問している。
 例えば「中電」。東海地方出身の私からすると中部電力だが、本紙読者は中国電力と区別がつかないだろう。初めて「パー券」の文字を見た時は頭に?がいくつも浮かんだ。政治資金パーティーの券だと、日ごろ関心のある読者以外に伝わるか。
 横文字も時に慎重になる。例えば、以前はフェイスブックを見出しで「FB」と略すことは少なかった。最近では「オーバーシュート」。新型コロナの爆発的感染とすぐ分かる読者もいれば、頭に?が浮かぶ人もいるだろう。新聞離れが続く今、分かりやすさの基準をどこに置くか日々考えている。

◆逃げられない

 締め切り間際でも、ひとたび大ニュースが起きれば紙面を大幅変更するのが新聞。迅速なやりとりで質を確保するためには、出社を避けては通れない。大雪や台風の前日は会社に泊まることもある。目下の課題はもちろん新型コロナだ。
 整理部員は、その日に担当する紙面によって席も日替わり。感染防止の味方は、マイキーボードにアルコールティッシュ。一方で「敵」も生まれた。マスクやアクリルボード、ソーシャルディスタンスで、弱点の小声が同僚に届かなくなった。
 締め切り数分前の修羅場で、か細い訴えはかき消されてしまう。コロナが収束するまであと何度、聞き返されるだろうか。
<よねだ・れお> 岐阜県出身。2014年入社。紙面の担当は政治や経済ニュース。趣味のライブハウス通いはコロナ禍で困難に。学生時代弾いていたベースを片手に「オアシス」を聴く日々。

関連キーワード

PR情報