<新型コロナ>「こんな時だからこそ」 野球で地域を元気に 今季からBCリーグ参戦の神奈川フューチャードリームス・藤本伸也代表(55)

2020年8月22日 07時16分

「一人でも多くの選手の夢をかなえてあげたい」と語る藤本代表=藤沢市で

 今年、プロ野球の独立リーグ「ルートインBCリーグ」に参戦した「神奈川フューチャードリームス」。新型コロナウイルス感染症の影響で開幕は二カ月以上遅れたが、「参戦初年度で優勝」を目標に勝利を重ねている。運営会社「神奈川県民球団」の藤本伸也代表(55)は「社会が暗くなりがちな今、応援していただく方たちの元気の一助になりたい」と力が入る。
 「地域に恩返ししたい」と考えたのが、球団経営のスタートだった。
 大阪市出身。父親を肝臓がんで亡くしたのをきっかけに、二十三歳のとき健康食品の会社を藤沢市で起こした。「神奈川のどこかでと探していて、ふと目が留まって」
 広告や飲食など異業種に進出し、さらに「日本一の会社をつくりたい」と中古釣り具の専門店を設立。藤沢を拠点にフランチャイズ方式でチェーン店を増やした。今では海外を合わせて二百十六店舗を展開する。
 五十歳になろうかというころ、地域貢献を考える中でBCリーグを知った。小さいころから野球が好きだったが、家庭の事情で自身はプレーに打ち込む余裕に恵まれなかった。子どもたちを指導して野球人口の拡大に努めつつ、地域に根ざして国内最高峰の日本野球機構(NPB)でのプレーを夢見る若者たちを「応援したい」と思った。
 県内野球界で付き合いがあったわけではない。「好きでやれるほど甘くない」とも言われながら、熱意は衰えなかった。体制を整え、昨年六月、加盟承認を受け、スポンサー集めに奔走した。
 四月十八日に横浜スタジアムで予定していたホーム開幕戦を何より楽しみにしていた。にぎやかな演出を計画し、「たくさんのお客さんの前で選手にプレーしてもらい、このチームに入って良かったと思ってほしい」と願っていた。
 ところが感染症の影響で開幕は延期。「最後まで諦めきれなくて、言葉に表せないほど残念だった」。いつ試合ができるのか、先は見えず、球団運営の安定に必要な新たなスポンサー獲得もままならなくなり、入場料収入の当ても外れた。
 それでも、若くして起業し、県民球団を含むグループ企業十六社を率いる実業家はポジティブ。「あたふたしても仕方ない。体制固めをしっかりしよう」と頭を切り替えた。
 六月二十一日に茨城県でシーズン開幕戦、二日後に平塚市でホーム初戦を迎えた。無観客でも「やっと始まった」といううれしさは無上だった。八月十日には相模原市でホームでは初めてファンの前で戦った。
 地域の子どもたちを対象にした野球教室は開けずにいる。思い描いた夢からは離れている。「まだ何もできていないのが正直なところ」。そう認めつつ、悲嘆する様子はない。
 「今、選手たちは野球ができる喜びを感じている。初年度での優勝を目指してチームは一体感を持って戦っている。そんな選手たちの姿を生で見てほしい」 (吉岡潤)
<BCリーグ> BCは「ベースボール・チャレンジ」の略で野球を通じた地域の活性化などを掲げる。2020年度は神奈川、茨城、栃木、埼玉、福島、新潟、群馬、長野、富山、石川、福井、滋賀の12球団が参加している。
 本年度は感染症対策として移動距離の短縮などを目的に近隣球団との対戦を優先。例年の2地区を3地区に分け、神奈川は埼玉、茨城、栃木と東地区に入り、埼玉と40試合、茨城、栃木と各10試合の計60試合(ホームとビジター各30試合)を戦う。
 さらに各地区は2グループに分かれ、グループBの神奈川は勝率で埼玉を上回れば、同Aの茨城と栃木のどちらか勝率上位と地区優勝をかけて対戦。各地区優勝、地区優勝を逃した中でリーグ戦の成績最上位の計4球団でリーグ優勝を争う。現在、神奈川は埼玉をリードしている。

試合前にベンチを訪れ、選手たちを激励する藤本代表(右)=相模原市で

関連キーワード

PR情報

神奈川の最新ニュース

記事一覧