「GoTo」1カ月 埼玉県内の声は

2020年8月22日 07時23分
 政府の観光支援事業「Go To トラベル」キャンペーン開始から22日で1カ月。新型コロナウイルス感染が収まらない中、実施時期や「東京外し」などを巡り戸惑いも広がったが、コロナ禍で打撃を受けた観光地にとって、起爆剤にという期待は大きい。効果はあったのか、県内の声を聞いた。(久間木聡、前田朋子)

◆秩父のキャンプ場と旅館 新規利用者が増/地域の魅力、再認識のきっかけに

宿泊者には無料で提供される秩父地域最大の貸し切り露天風呂=小鹿野町長留の旅館宮本の湯で(宮本の湯提供)

秩父市久那の総合公園秩父ミューズパーク内にある、コテージキャンプ場PICA秩父。九十八あるコテージは満室状態で、支配人の河内貴如さん(36)は「自粛ムードが和らいだのに加えて、GoToが追い風となった。新規の利用者も増えている」と歓迎する。
 県民に加えキャンペーン対象外の都民の利用も多いというが、八月七〜十八日の稼働率は前年比で三割アップ。河内さんは「家族や友人同士でコテージに泊まり、アウトドアやキャンプを楽しむスタイルが受け入れられている。不特定多数の人と交わらずに済む安心感もあるのでは」と話す。
 小鹿野町長留の旅館宮本の湯でも、キャンペーン開始以降、家族旅行を中心に県内外からの利用者が相次いでいる。代表の宮本一輝さん(41)は「(GoToの)反響は大きかった」と語り、「交通の便の良さに加え、温泉スポットが多い秩父地域の魅力をあらためて再認識してもらうきっかけになり、個人客の評判を呼んでいる。この流れが続いてくれれば」と強調する。
 一方、両施設とも利用者の大半が個人客や少人数のグループ。秋の行楽シーズンなど、将来に向けて待ち望むのが団体客需要の回復だ。宮本さんは「林間学校や企業の研修など、数十人単位での利用が戻ってきてくれれば」と願う。
 河内さんも「近くに五十二面のテニスコートがあるが、コテージ全棟を借りきった合宿利用がなくなった。(新型コロナが)すぐに収束することはないかもしれないが、リピーターを増やすなどして良い流れをつくっていきたい」と今後を見据えた。

◆さいたま市のホテル 上乗せで増えない/事務作業が煩雑

 県内の宿泊業二百九十四施設が加盟する県ホテル旅館生活衛生同業組合によると、県内を訪れる観光客は四〜五月の緊急事態宣言下で大幅に減少。六月から徐々に持ち直したが、現在も例年の六割程度とみられるという。秩父など一部地域を除くとGoToの効果は見えにくいといい、担当者は「制度が分かりにくく、高齢の経営者には(導入が)難しいのでは」と話す。
 さいたま市大宮区の「パイオランドホテル」は、自社HPから専用の外部サイトを経由して宿泊予約するシステム。GoTo対象のプランが表示されるため、利用者は一定程度いるが、宿泊支配人の浜崎良輝さんは「もともと用事がある人が利用しているのでは」と指摘。GoTo効果の実感はないといい、「上乗せで(客が)増えているわけではない」と冷静だ。
 むしろ事務作業が煩雑になった面も。「東京外し」の影響で、グループ客の中に含まれる都民を除き、改めて通常料金で予約し直してもらったケースもあるという。
 同ホテルは緊急事態宣言解除後、テレワーク用プランなどを導入して客室稼働率を五割程度に上げたが、売り上げは昨年同期比で25%程度と苦境が続く。浜崎さんは「(GoToは)全国一律でなく、(コロナ感染者の多い)関東はもっと後でやってほしかった」と残念がった。

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