6月の東京で初の人口減 コロナ禍で転入低調、1400万人割れ

2020年8月23日 06時00分
 新型コロナウイルスの感染拡大で、全国的な減少傾向と対照的に加速してきた東京都の人口増に急ブレーキがかかっている。都の毎月1日現在の人口推計によると、1956年の調査開始以来、6月として初めて前月比で人口が減少。5月に到達した1400万人の大台を割り込んだ。東京の「密」を避けるため転入者数が伸びなかったことが要因で、「コロナ禍が東京一極集中を変える歴史的転換点になる可能性がある」とみる専門家もいる。

◆専門家は「歴史的転換点か」


 毎月1日現在の東京の人口は例年、入社や入学に伴う転入者が多い影響で、5月が対前月同日比で最も増える。だが今年は4月の増加数を下回った。さらに例年、前月より1万人程度増える6月は3000人超の減少に転じる異変が生じた。
 「感染者が多く、緊急事態宣言の解除(5月25日)も遅かった影響が大きい。就職などで転入が多い(若い)年齢層で移動が減った」。総務省で人口移動調査を担当する永井恵子調査官はこう分析した。
 6月1日現在の人口を市区町村別でみると、江戸川、大田など都内でも人口の多い区で減少が目立つ。特に近年の都心回帰で人口を増やしてきた新宿区や港区では、都内の別の市区町村に移る日本人が多かった。「コロナ禍で収入が減り、家賃負担が軽い区域に移る人が増えた」(エコノミスト)可能性がある。外国人はほぼ全市区町村で減少。母国に帰国し再来日しない人が多いためとみられる。
 出社を求めない「リモートワーク」に切り替える企業の増加が東京からの転出も加速させている。都内の「さくらインターネット」に勤める城戸彩乃さん(28)は6月、杉並区から長野県駒ケ根市に転居。「仕事に支障はなく、今後もいろいろな街に移り住みながら働きたい」と語る。
 東京都の人口は7月1日現在もほぼ横ばいで1400万人を割ったまま。ただ都は今年3月、今後も東京の人口は増え、2025年に1422万人に達するとの予測を出している。
 みずほ総研の岡田豊主任研究員は「どこにいても構わないという人が増えれば、人々は身近な地方都市に住むようになる」と指摘。「東京の人口は今がピークで減り始める可能性がある」と予測する。(吉田通夫)

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