「密」の東京脱出、地方へ移住 テレワークが後押し 東京6月初の人口減

2020年8月23日 06時00分
 新型コロナウイルスの感染が広がる中、人が密集する東京で生活することに危険を感じ、地方に移住する人も出始めている。インターネットを通じた仕事に慣れているIT業界などでは、コロナが収束しても出社しなくて良い「リモートワーク」を続けると宣言する社もある。(吉田通夫)

長野県の自宅で仕事をする奥山純子さん=奥山さん提供

◆長野へ、福岡へ 「仕事の効率上がった」

 サイバーセキュリティーのパロアルトネットワークス(東京都千代田区)に勤める奥山純子さん(45)は、感染リスクを避け、4月に東京都杉並区から長野県御代田(みよた)町に移り住んだ。
 会社は3月に全社員に在宅勤務を指示。居住地や勤務地を自由に選べるようにしたのを機に転居を決めた。営業職で顧客とのやりとりはあるが、ウェブ会議システムなどで対応でき、「取引先への移動にかけていた時間にウェブ会議を入れられるようになり効率が上がった」と話す。
 杉並区にはまだ自宅があり、月に一度ぐらいは戻るが「人がたくさんいる」と危険を感じる。会社はコロナ禍が収束しても在宅勤務を続ける方針で、奥山さんは「今後も東京に戻ることはないと思う」と話す。
 一方、東京都新宿区で会社を経営する男性(34)は7月上旬に福岡市に転居した。自宅も新宿区にあったが「自分が感染するだけでなく、人にうつしてしまうのでは」と不安になり移住した。念のため、転居して2週間は人との面会を避けた。
 会議や東京に残る社員らからの相談にはウェブ会議システムなどで応じる。1人で考える環境が整ったため「経営判断やアドバイスの質も上がった」。月に一度は東京に出張するつもりだったが、感染者数が再び増加傾向に転じた7月下旬の出張は取りやめた。「今後も感染状況の推移をみないといけない」と話した。

◆都内で移住格差も

 みずほ総研の岡田豊主任研究員は「居住地にこだわらない移住者が増えれば、全国と同時に都内でも、住みやすさや特徴を打ち出せるエリアと、そうでないエリアとの間の格差が拡大するだろう」と予想する。
 その半面、野村総研の木内登英氏は「地方都市での仕事の機会が増え、今まで眠っていたインフラや人材といった地域資源の有効活用につながる」と経済全体へのメリットを指摘する。
【関連記事】6月の東京で初の人口減 コロナ禍で転入低調、1400万人割れ
【関連記事】在宅勤務の経費って自腹? 電気代、通信費、機器購入…出費こんなに

関連キーワード

PR情報