コロナ禍でカジノの先行き見えず…誘致表明から1年、横浜市のいま

2020年8月23日 05時55分

「カジノを断念せよ」と声を上げプラカードを掲げる市民ら=22日、横浜市中区で

 横浜市がカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致を表明してから、22日で1年となった。東京都などに先んじて首都圏で最初に名乗りを上げたが、昨年末に発覚したIR事業を巡る汚職事件や新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、市は、目指すIRの要件を示す実施方針公表を延期するなど構想は大きく崩れた。計画が進まない中、反対派の市民らは誘致の是非を問う住民投票や、林文子市長(74)のリコール(解職請求)に向けた動きを本格化させている。(杉戸祐子)

◆反対集会「カジノもコロナも終息へ」

 「主権者である市民の力で止めよう」「横浜にカジノは要らない」。22日午後、市がIR誘致先に予定する山下ふ頭(中区)の隣の山下公園で、市民ら約800人(主催者発表)が反対集会を開いた。掲げたスローガンは「カジノもコロナも終息へ」。
 主催した市民団体「カジノの是非を決める横浜市民の会」は、住民投票の実施を林市長に請求する署名集めを、来月4日から始める予定だ。集会には地元選出の立憲民主党や共産党の国会議員らも駆けつけた。

◆林市長、誘致の姿勢崩さず

 林市長はIRについて「将来の市財政に必要。コロナ後の有力な経済回復策の1つ」と誘致を進める姿勢を崩していないが、作業は難航している。

実施方針の公表延期を発表する横浜市の林文子市長=19日、同市役所で

 市は当初、国が年明けに示すとされた基本方針を踏まえ、6月に実施方針を公表して年度内に事業者を募集・選定し、来年前半に国に認定申請するスケジュールを描いていた。
 だが、汚職事件やコロナ禍を受け、国は基本方針に事業者との接触を制限する規定や感染症対策を加える方向で検討し、今も公表時期は「決まっていない」(国土交通省の担当者)とする。市は実施方針の公表を今月に延ばしたが、林市長は19日、「実施方針は国の基本方針をしっかり踏まえる必要がある。現下の状況では公表できない」と再延期を表明した。

◆有力カジノ事業者が撤退

 参入を狙う事業者側も厳しい状況。有力候補とみられた米カジノ大手ラスベガス・サンズが5月に日本から撤退したほか、新型コロナの影響で他の事業者の財務状況も悪化している。
 誘致推進費を含む予算案に賛成し、誘致に肯定的な自民党の市議には「拙速に進めるより事業者の投資意欲が戻るのを待った方が良い」と捉える声もある一方、「IRなんて言ってる場合じゃない」と突き放す意見も聞かれる。市民からの反対の声が強まる中、「この状況で誰なら市長選に勝てるか」と、来年8月に3期目の任期満了を迎える林市長の後任を模索する声も出ている。

◆林市長のリコール運動も

 政治団体「1人から始めるリコール運動」は、林市長のリコールのための署名集めを10月に始める予定だ。市の人口376万人で必要な署名数は49万人。ハードルは高いが、広越由美子代表(40)は「カジノを直接止められるのはリコールだけ」と訴え、署名集めを担う受任者の確保を進めている。

◆横浜市のIR誘致を巡る動き


2017年 7月30日 林市長が誘致を「白紙」として市長選3選
  19年 8月22日 林市長が誘致を正式表明
     11月6日 横浜商工会議所など誘致推進派の経済団体が「IR横浜推進協議会」を設立
     12月25日 東京地検特捜部が元内閣府副大臣でIR担当だった秋元司衆院議員を収賄容疑で逮捕
  20年 4月15日 新型コロナの感染拡大を受け、林市長が実施方針の公表を6月から8月に延期すると表明
      5月13日 米カジノ大手ラスベガス・サンズが日本から撤退表明
      8月19日 林市長が実施方針の公表再延期を発表

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