感染リスク回避にそれぞれ腐心 パラアスリート、徐々に本格練習再開 「東京パラ」あと1年

2020年8月24日 05時50分
 新型コロナウイルスの影響で延期した東京パラリンピックは、開幕まで24日であと1年。パラアスリートは本格的なトレーニングを徐々に再開している。感染のリスクや予防策は、体の状態や練習環境により異なる。「障害があると重症化リスクが高い」とひとまとめに考えず、それぞれの状況で判断する必要がある。(神谷円香、兼村優希)

久しぶりの強化合宿でトレーニングするトライアスロンの佐藤圭一選手(左)ら=東京都江東区のアシックススポーツコンプレックス東京ベイで(日本トライアスロン連合提供)

◆「ボッチャ」は公共交通利用禁止

 「トレーニングができる環境に感謝している。再開をうれしく思う」。トライアスロンの佐藤圭一選手(41)=エイベックス=は7月中旬、久しぶりの強化合宿で水泳やジムでのバイクトレーニングに励んだ。
 現状、医学的に感染による重症化リスクが高いとされるのは、呼吸器系などの基礎疾患や免疫疾患がある人。生まれつき左手がない佐藤選手のように、健常者と直接的なリスクの違いはない人もいる。

テレビ会議システムを使ったボッチャのリモート合宿(日本ボッチャ協会提供)

 一方、ボッチャは今も厳戒態勢。障害により呼吸器系の機能が弱い選手が多いとして、日本ボッチャ協会は選手やスタッフの公共交通機関の利用を原則禁止。選手は移動そのものを控え、監督らが全国に散らばる選手を訪問指導する。
 6月、各選手の自宅などをテレビ会議システムでつないで「リモート合宿」を実施し、戦術の研究などをした。ただ「対戦してボールを投げ合わないと限界もある」と協会。7月下旬には、東京・味の素ナショナルトレーニングセンターで近郊に住む選手だけの強化合宿をし、少しずつ複数での練習機会を設けている。
 視覚障害のランナーは、並んで走る伴走者がトレーニングに必要だ。前後の手洗いや消毒を徹底して選手は個々に練習に励む。ただ日本ブラインドマラソン協会はあらゆるリスク回避のため、東京・代々木公園で一般ランナーも募り毎月開いている練習会を9月まで中止にした。
 「車いす、つえ、義手などは触る部分を常時消毒」
 「視覚障害者は触れて物を確認した後、必ず手指消毒」
 日本障がい者スポーツ協会は感染予防指針で、細かな注意点を挙げている。協会のウェブサイトには、片手しか使えない人のために、蛇口に引っかけたタオルで手洗いする動画を公開した。
 車いすラグビーの今井友明選手(37)=三菱商事=は細心の注意を払う1人。頸髄けいずい損傷で障害が重いクラスに属しており「重症化リスクは高いと思っている。ソーシャルディスタンスは皆さんが2メートルなら3メートルとる」。車いすには消毒液を常備しているという。

◆リスクと障害の相関関係、はっきりせず

 新型コロナのリスクと障害の相関関係は、はっきり分かっていない。国際パラリンピック委員会(IPC)の医学委員会は7月末、頸髄損傷が重症化リスクを高める、知的障害はせきエチケットや手の衛生管理の意識づけが難しい、などの可能性を示したが、同時に「パラアスリートは同種の集団ではなく、個人で状況は違う」と強調している。
 日本パラリンピック委員会(JPC)の河合純一委員長は、障害と一口に言っても特性はさまざまだとして、画一的に「障害者はリスクが高い」と誤解しないよう呼び掛け、「リスクを理解しながら(障害のある人たちが広く)スポーツを楽しめる環境が整備されてほしい」と願う。

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