<TOKYO2020→21>パラ大会まで1年 私たちの「共生」のカタチ

2020年8月24日 07時15分
 幼い頃から別々の学校に通ったり、職場でも接点が少なかったり。障害者と健常者の「共生社会」を目指すというけれど、実感はどのくらいあるだろう。健常者の皆さんに聞いてみたい。障害者の友達いますか?障害者の皆さんにも、健常者の友達いますか、と。「います!」と答えた6組が、思いを語ってくれた。

◆一つのハーモニー

◇ブラインドサッカー選手・菊島宙(きくしま・そら)さん(18)× 高校3年・宿沢明日香(しゅくざわ・あすか)さん(17)

菊島さん(左)と宿沢さん=羽村市で

 小中学校の同級生で、中学では同じ合唱部に入った。菊島さんがメゾソプラノで、宿沢さんがアルト。「みんなの声が一つのハーモニーになったり、掛け合いしたり、合唱は楽しい」と声をそろえる。
 菊島さんは弱視で外出時は白杖(はくじょう)を使うが、幼い頃からサッカーにも打ち込み、ブラインドサッカー女子日本代表でもある。
 中学時代、菊島さんが所属するチームの体験会があった。宿沢さんは「宙(そら)がすごいシュートを見せてくれた。昔から友達で一緒にいるから、障害者を避けたり特別扱いする人がいるのはなぜって思う」。
 菊島さんは「私は今は盲学校に通っているけど、小中学校は健常者のみんなと交ざってやってきた。周りの人が助けてくれれば、同じようにできないことはない、って思います」。

◆人生観 豊かになる

清水さん(左)と亀山さん=千葉県鎌ケ谷市で

◇パラ・パワーリフティング選手・清水健悟(しみず・けんご)さん(22)× 会社員・亀山隼(かめやま・しゅん)さん(23)
 小中学校の同級生で、六年間サッカー部のチームメートだった。清水さんは生まれた時から二分脊椎症(にぶんせきついしょう)。足が不自由で、杖(つえ)を使って通学していた。
 「でも、杖をつきながらドリブルしたりシュートしたり、元気な子だなって思った。入部を迷っていた僕を、サッカーに誘ってくれた」と亀山さん。
 家が近く、学校の行き帰りに話し込んだ。今も食事や買い物に行く仲だ。清水さんは現在、企業所属選手として重量挙げに取り組み、将来のパラリンピックを目指す。「スポーツに打ち込む姿から元気をもらえる」と亀山さん。
 清水さんは「障害のある人、ない人、いろんな人と付き合うと、価値観や人生観が豊かになると思う。障害者は『何もできない、かわいそうな人』ではないと僕が世の中に伝えたい」。
◇スポーツ吹矢指導員・山崎道男(やまざき・みちお)さん(74)× オステオパス(整体師)・大泉美和(おおいずみ・みわ)さん(61)

山崎さん(左)と大泉さん=北区で

 山崎さん 21歳で交通事故に巻き込まれました。車いす利用者用の共同住宅に長く住んでいますが、同じ住宅の子は、近所でも「車いす押しましょうか?」と声を掛けてくれたり、黙って押してくれる。環境が人を育てると感じます。
 大泉さん 山崎さんとは以前の職場が同じで、ご飯に行く仲。私が店を提案し、山崎さんが車を運転してくれる。人との付き合いって、頭で考え過ぎたり先回りして心配したりせず、いろんな相手に全身でぶつかることじゃないかしら?
◇会社員・上野優一(うえの・ゆういち)さん(51)× 工務店経営・加藤大(かとう・だい)さん(46)

加藤さん(左)と上野さん=埼玉県入間市で

 上野さん 航空整備士をしていた40歳の時、交通事故に遭いました。一時は引きこもりになりましたが、インターネットでつながった地元の食事会で飛行機好きの大ちゃんと出会い、全国の航空ショーを旅するようになりました。
 加藤さん 上野さんに誘われた介護機器の展示会でバリアフリー住宅の設計や機材を知り、工務店の仕事の幅が広がりました。昨年、車を買い替えた時、車いすのまま乗せられるバンを購入。いろいろな場所に遊びに行ってます。
◇元パラアルペンスキー日本代表・野島弘(のじま・ひろし)さん(58)× 大学院2年・山本華菜子(やまもと・かなこ)さん(23)

野島さん(左)と山本さん=新宿区で

 野島さん 障害者と接するのに、壁を作る人がいる。彼女は最初からない。そこが良いのよ。車いすの子どもたちをスキーやキャンプに連れて行く活動も、一緒に楽しんでくれる。子どもにとって、遊ぶ時は介助者じゃなくて仲間だ。
 山本さん 私が大学でパラのイベントを開いた時、仲間を大勢連れて来てくれた。「私も入りたい」って話し掛け、意気投合。自分の世界が広がる感じがしました。同じ目的で一緒にいる時間があるから、仲良くなったと思います。
◇自営業・今井正人(いまい・まさひと)さん(49)× ミュージシャン・旅流草一郎(たびりゅう・そういちろう)さん(52)

今井さん(左)と旅流さん=立川市で

 今井さん 四十歳の時の事故で左脚を切断して義足になったけど、趣味の音楽を続けています。旅流さんは障害者が多く出演するライブに遊びに来て、声をかけてくれました。それからはライブで毎回演奏してくれるようになり、打ち上げで一緒に音楽について語り合います。
 旅流さん 今井さんは義足を見せながら演奏します。本能をさらけ出すように歌う姿がかっこいい。コロナ禍でライブができないけど、収束したらセッションをする予定です。
 文と写真・臼井康兆、原田遼、神谷円香
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