「学費減額を」コロナ禍で学生切実 家計圧迫、奨学金の欠陥…「国も支援を」

2020年8月25日 05時50分

 新型コロナウイルスの影響でキャンパスに通えない大学生らが、学費減額を訴え続けている。アルバイト収入が激減し、あらわになった学生の困窮ぶり。背景には学費の高騰と家計での負担の重さ、奨学金制度の欠陥があると専門家は指摘する。学生らは「大学にも予算を」と国に呼び掛けている。(土門哲雄)

◆一律学費半額を求めるアクション

 「キャンパスに行けず、生の人間関係やサークル活動は一切ないのに」。各大学の連携団体「一律学費半額を求めるアクション」の山岸鞠香代表(26)は記者会見でそう訴えた。

学生支援緊急給付金についてのアンケート結果を公表した「一律学費半額を求めるアクション」の山岸鞠香代表=東京都千代田区の参院議員会館で


 国の学生支援緊急給付金に関する団体の調査では「多額の仕送りを受けていない」「バイト収入が50%以上減少」など6つの要件を全て満たしても、給付金を受給できない学生がいる一方、一部しか該当していないのに支給された学生もいた。大学ごとの学生の推薦基準に差があったと指摘。「学業が大きく制限されている状況は、全ての学生に等しく起きている」と一律の支給を求めた。
 緊急給付金の対象は43万人で、全学生の11%。住民税非課税世帯の学生に20万円、それ以外は10万円。7月で締め切られた。学生団体「高等教育無償化プロジェクトFREE」も今月、文部科学省に追加支援を求めた。

◆初年度納付金は私立大で130万円超

 多くの大学は学生にオンライン環境整備の支援金を給付したが、学費減額には応じていない。中京大の大内裕和教授(教育社会学)は「コロナ災害で、大学の抱えていた問題が浮き彫りになった」と話す。
 全大学の8割近くを占める私立大の年間授業料は平均で約90万円。入学金(約25万円)や施設設備費(約18万円)を合わせた初年度納付金は約133万円に上る。このほかに実験実習料などがかかる。
 大内教授によると、1970年代以降、学費が高騰。90年代後半までは親の収入が上昇し、下宿生で10万円以上の仕送りを受けている割合は95年に62.4%(全国大学生活協同組合連合会調査)だったが、90年代後半からは親の収入が減り、仕送り額も減少。奨学金を借りる人が急増した。2010年代前半からは、奨学金返済の不安から利用者が減る一方、バイトで学費や生活費を賄う学生が増え、長時間労働、過酷なシフトなどの「ブラックバイト」が横行するようになったという。
 「秋以降、学費を払えず中退者が増える恐れがある」と大内教授。「中間層にも届く支援が必要で、国の予算で学費減額に踏み込むべきだ」と強調する。

◆学費の家計負担の割合高い日本

 桜美林大の小林雅之教授(高等教育論)は「日本は、大学の学費を家計で負担している割合が非常に高い」と背景を説明する。
 経済協力開発機構(OECD)の調査で、国内総生産(GDP)に占める教育機関への公的支出の割合は2.9%で35カ国中最低。大学など高等教育での公的支出の割合も31%にとどまり最低水準だった。
 国は4月、新たな修学支援制度を始めたが、対象は住民税非課税世帯や準ずる世帯の学生で、年収380万円程度まで。それまで授業料減免を受けられた中間層の一部は逆に支援の網からこぼれ落ちた。
 学費減額を求める動きについて、小林教授は「施設設備費や実習費は、卒業まで4年間全体で見た時に、返還の対象になる可能性がある」と説明。国の教育予算拡充に向けては「大学が質の高い教育を提供し、学生だけでなく、社会全体が恩恵を受けられるという信頼を広げていくことが大事だ」と話す。

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