国内初のブラインドサッカー専用コート 小平で男子日本代表が再始動

2020年8月25日 05時50分

完成したばかりの専用コートで練習する選手たち=東京都小平市で(日本ブラインドサッカー協会提供)


 新型コロナウイルスの影響で異例の延期となった東京パラリンピックは24日、開幕まで1年となった。開催国枠で初出場する視覚障害者らの5人制サッカー(ブラインドサッカー)男子日本代表は、6月に東京都小平市に完成した国内初の専用コートを拠点に再始動している。大会延期で質の高いトレーニングを積める時間が期せずして増えた。海外遠征もできない中、高田敏志監督は「ここでできるのは非常にポジティブな要素」と前を向く。(兼村優希)
 芝の長さが異なる2種類のコートは、さまざまな国際大会に対応するため。ボールがサイドラインを割らないように高さ約1メートルのフェンスも常設する。併設のクラブハウスは弱視の選手に配慮した色づかいをするなどユニバーサルデザインを採用した。大通りからやや離れた場所にあり、プレーで頼りにする「声」や「音」が遮られることも少ないという。
 日本ブラインドサッカー協会とパートナーシップ契約を結ぶ丸井グループが、自社の研修施設の一角に整備した。代表チームは消毒や検温をして感染に注意しながら、週2日ほど通う。7月からは対人プレーも伴う実戦練習を取り入れ、ボールを持った相手に向かう際に出す「ボイ!」の掛け声が響くようになった。
 高田監督は「競技に集中できる環境がついに日本にできた。初めて足を踏み入れた瞬間、涙が出るほどうれしかったのを一生忘れない」と感慨深げ。主将の川村怜(アクサ生命保険)も「歴史的な第一歩。競技の普及や育成などさまざまな形で活用したい」と期待を膨らませる。
 日本代表はこれまで、首都圏のサッカー施設などを渡り歩いて練習場を確保してきた。協会は数年前から確保の苦労を丸井グループに相談し、昨年初めに整備計画が本格化したという。丸井グループの担当者は「選手が思う存分練習できる環境を整えることを重視した。今後は将来世代の育成も検討したい」と話す。
 自粛期間によるコンディション低下に強化計画の練り直しと、課題は山積みだ。日本は強豪国に地力で劣るものの、綿密な分析と対策を講じてその差を埋めてきただけに、高田監督は「今年8月の開幕にピークを持っていくはずが、狂った。再検討しなければ」と危機感をにじませる。
 だが、下を向いてばかりはいられない。大会が1年先に延びても、目標とするメダル獲得を「諦めるわけにはいかない」と高田監督。待望の新拠点完成を追い風に、今できることに注力していく。

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