県防災ヘリ墜落 遺族「早期に慰霊碑を」 運輸安全委報告 県「丁寧に要望聞く」

2020年2月28日 02時00分

会見する県の糸井秀幸防災航空センター所長(右)と稲原信行消防保安課長=県庁で

 県の防災ヘリコプター「はるな」が二〇一八年八月に中之条町の山中に墜落して乗員九人が死亡した事故で、運輸安全委員会が調査報告書を公表した二十七日、遺族たちから県が報告書の内容を受けて検討を進める慰霊碑を早期に建立するように求める声が上がった。ただ、県は同日、県庁で記者会見し、「慰霊碑の建立は遺族の要望を丁寧に聞いている」と述べ、時間がかかるとの見方を示した。 (菅原洋、市川勘太郎)
 亡くなったのは消防職員七人と、県がヘリの運航を委託していた東邦航空(東京)の操縦士と整備士。慰霊碑を建立する際は故人名を刻むのが一般的なため、同社員二人の名前を入れるかが懸案となっている。
 報告書は「(操縦士は雲の状況に応じて)早期に引き返す必要があった」などと指摘し、操縦に問題があったとの見解を示した。
 同社は事故の際、東京航空局へ離着陸地点が実際と異なる飛行計画を提出し、墜落したヘリが帰着したと虚偽の通知もした。操縦士が免許に当たる技能証明書を、整備士は航空日誌を機体へ携帯しなかった事実も判明。いずれも航空法違反で、報告書はこの点も問題があるとの見解を記した。
 このため、遺族会の会長で、吾妻広域消防本部の職員だった田村研さん=当時(47)=を失った父の富司さん(79)は取材に「慰霊碑に刻む名は消防職員を中心にしてほしい」と求めた。
 同消防本部の職員だった蜂須賀雅也さん=当時(43)=を亡くした父の保夫さん(68)は慰霊碑などについて「県からはやる気を感じない。担当者も人事異動で変わり、人ごとのようだ」と厳しい口調で語った。
 一方、記者会見した県防災航空センターの糸井秀幸所長は報告書に触れ「操縦士が引き返すタイミングを逸したことは誠に残念。操縦士の責任と判断の結果ということは免れない」と指摘した。
 県は事故の再発防止のため、来月下旬に陸上自衛隊を退官し、操縦士の資格を持つ経験者を招く。後継機が年末に納入後は、二一年四月から操縦士を二人体制にして運航訓練を始める。
 ただ、富司さんは「県は事故前に二人体制にしておいてほしかった。操縦士を徹底的に教育してほしい」と注文を付けた。
 東邦航空は二十七日、「ご遺族に哀悼の意を表し、関係者に多大なるご心配とご迷惑をかけ、深くおわびします。報告書の内容を真摯(しんし)に受け止め、二度と事故を起こさぬよう全社一丸で安全最優先に努めます」とのコメントを出した。

調査報告書を読む蜂須賀さん=中之条町で

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