口の中に存在する「金」

2020年8月26日 06時58分
 昨年から今年にかけて奥歯が三本も悪化した。かなり重い虫歯で一本は根の部分が割れていた。しかし、会社近くの歯科医院で完璧に治してもらった。
 処置した奥歯には金歯を入れた。金は銀よりかなり高いが、先生から「長期的な健康を考えると金の方がいい」との助言をもらい悩んだ揚げ句、思い切って決めた。
 さて金融市場で金の価格が高騰している。コロナ禍による経済不安の中「資金の逃避先」として人気を集めているようだ。
 有事の際、市場では特定の通貨が買われることがよくある。「有事のドル」が典型的だが、円が買われるケースもある。比較すると「安全な通貨だよね」との評価が投資家の間にあるのだろう。
 金については「最後の逃避先」との位置付けのように思う。「何があっても金だけは信じられる」という、理屈では説明できない人間の心理があるからだろうか。
 金といえば「金の延べ棒」を思い浮かべるが、もちろん見たことも触ったこともない。無縁な存在だと思いきや、ふと「口の中に三つもあるじゃないか」と気が付いた。
 ネットで調べると売却も可能らしい。「価格が高騰しているうちに一個ぐらい銀と入れ替え、こっそり小遣いに」と脳裏によぎったが、あのつらい治療を思い起こし、その軽率な考えを捨てた。 (富田光)

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