ワサビ苗、みずみずしく JA伊豆の国が高性能冷蔵庫導入

2020年8月26日 07時13分

新たに導入された冷蔵庫の内部はワサビの苗の保存に最適な温度と湿度に保たれている=いずれも伊豆市で

 地球温暖化で伊豆特産のワサビが脅かされている。苗を北海道の畑で育成後、県内のわさび田に移して栽培しているが、北海道の気温上昇で、現地での夏栽培が困難になっているという。苗の供給が不安定になる恐れがあり、JA伊豆の国(伊豆の国市)は今月、春栽培の苗を長期間、質を落とさず保存できる高性能冷蔵庫二台を導入した。気候変動下で、ワサビを守る対策だ。(渡辺陽太郎)
 高性能冷蔵庫は高さ約二・四メートル、幅三・六メートル、奥行き二・七メートル。約十平方メートルの庫内の温度は三度に保たれている。従来品との違いは90%超の湿度を保てることだ。60%程度の従来品で保存すると苗はパサパサになるが、この冷蔵庫はみずみずしい状態を保てる。昨年、県農林技術研究所との合同実験で実証できた。
 伊豆市内の同JA支店倉庫に設置した。一台三百六十万円で従来品の約二倍と高価だが、地元生産者組合と伊豆市、県が三分の一ずつ出資。県の担当者は「伊豆のワサビは今が大切な時期。高品質、安定供給が必要なんです」と話す。
 わき水を使う伊豆のワサビは一年中栽培できる。だが苗は土で育てるため暑さに弱い。北海道の苗の産地はかつて、夏でも冷涼だったが、近年は三五度を超える日が多く、高品質の苗の育成は困難になっている。同JAの担当者は「新たな苗産地との調整も進めている」と話す。

伊豆市のわさび田(同市提供)

◆世界農業遺産PRで認定マーク

 伝統的手法で栽培される県のワサビは2018年、世界農業遺産に認定された。県によると、認知度はまだ低い。そこで今月から同JAの出荷箱に静岡文化芸術大学(浜松市)の学生がデザインした認定マークを付けた。農業遺産の文字とともにワサビや富士山がある県らしいデザインだ。高級旅館などにワサビを販売する市場関係者にPRする。
 24日、伊豆市内でのお披露目会に出席した同JAわさび委員会の塩谷美博(よしひろ)委員長(62)=同市=は夏栽培の苗の不足に不安があるとしながらも「認定マークはとてもいいデザイン。中身が負けては駄目。質を維持する」と決意を話した。同JAは新たな産地だけでの安定供給が困難なら、高性能冷蔵庫を増やす方針だ。

認定マーク入りの出荷箱に詰めるワサビをチェックする塩谷委員長


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