茨城沖に「幻の巨大油ガス田」、今も埋蔵? 茨城大と北大が解明

2020年8月26日 13時50分
 茨城県北茨城市の五浦いづら海岸に分布する大規模な岩礁が、かつて周辺の海底に存在した油・ガス田から湧出した天然ガスに由来する可能性が高いことを、茨城大と北海道大の研究チームが突き止めた。チームは「幻の五浦巨大油・ガス田」の発見と位置付け、「茨城沖に石油や天然ガスが埋蔵されているポテンシャル(潜在性)が一挙に高まった」と有望視する。 (宮尾幹成)

五浦海岸に広がる炭酸カルシウムの岩礁。後方左は岡倉天心が思索の部屋として建てた「六角堂」=北海道大提供

◆岡倉天心ゆかりの地で

 五浦海岸は、明治期の美術思想家の岡倉天心がついのすみかとしたことで知られる。主に炭酸カルシウム(方解石)がセメント状に固まった「炭酸塩コンクリーション」と呼ばれる岩礁が、独特の力強い景観を生んでいる。
 茨城大大学院理工学研究科の安藤寿男教授と北海道大大学院理学研究院の鈴木徳行名誉教授らの研究チームは、採取した岩礁に残留する微量のガスの成分を測定するとともに、岩礁やガスに含まれる炭素などの同位体組成も分析した。
 その結果、炭酸カルシウムを構成する炭素のほとんどがメタンなどの天然ガスに由来することや、メタンから生成した重炭酸イオンが海水中のカルシウムイオンと結び付いて炭酸カルシウムを形成したことを確認。原油が存在していた可能性が高いことも分かった。
 五浦に現存する岩礁中の炭酸カルシウムは600万立方メートル以上で、73億立方メートル以上のメタンに対応する量だ。これ以外に炭酸カルシウムを形成せずに流出したメタンが大量にあり、風化や浸食で消滅した岩礁も多いとみられる。
 こうした「目減り分」を考慮すると、実際には「巨大ガス田」(採掘可能な埋蔵量で950億立方メートル以上と定義)に匹敵する油・ガス田が存在していたと推定されるという。
 国内で確認済みの採掘可能な埋蔵量は、原油が約545万立方メートル、天然ガスが約282億立方メートルだ。
 五浦の岩礁は、初期中新世末期の地層「九面ここづら層」(約1650万年前)に含まれる。研究チームによると、この前後の時期(約2000万~1500万年前)に日本列島がユーラシア大陸から分離し、激しい地殻変動によって海底深部の油・ガス田に亀裂が生じた結果、天然ガスの湧出が数万年以上にわたって断続的に起きたと考えられる。

◆資源探査への期待高まる

 国は2019年度から、石油天然ガス・金属鉱物資源機構の探査船「たんさ」で日本近海の地下資源探査を進めており、茨城沖も対象になる可能性がある。
 安藤教授は「天心が選んだ五浦の壮大な風景が、地質学的に稀な現象によってできたことは興味深い。国の資源探査にも大いに期待したい」と話している。
 研究成果は国際学術誌「Marine and Petroleum Geology」で公開された。

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