「地上イージスより安い」理由も2倍超の試算も 敵基地攻撃能力の保有

2020年8月27日 05時50分

 防衛省は地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の迎撃ミサイルに技術的問題が見つかり、改修に2000億円以上かかることを撤回の理由に挙げたが、敵基地攻撃能力を保有する場合、どれぐらいの費用が必要なのか。防衛大の武田康裕教授は、地上イージスより年間で2倍超という試算をまとめた。全ての装備を独自に持つと年間863億円かかり、5兆円を突破した防衛予算をさらに膨張させる懸念がある。
 敵基地攻撃には
(1)目標地点の正確な把握
(2)相手国の防空網の無力化
(3)正確な打撃|が必要。米軍の「矛」に依存せず、日本独自で能力を保持するには、さまざまな装備が必要となる。
 相手国の防空網を制圧し、自衛隊が危険を避けて攻撃するのに欠かせないのが、敵のレーダーや通信を妨害する機能。優れた性能を持つ米国製電子戦機「EA18―G」を採用すれば、年間119億円かかる。
 爆撃には、自衛隊が導入を始めているステルス戦闘機F35Aを42機配備すると想定し、誘導爆弾なども搭載すると、年間コストは744億円に上る。
 防衛省は、地上イージスの購入と30年間の維持費などの総額を4504億円と見積もっていた。これに対し、武田氏は研究開発費や人件費なども加えて20年間で総額8250億円と、防衛省の見積もりを上回る費用がかかると試算。使用年数で割ると1年当たり413億円だが、それでも敵基地攻撃能力の費用が450億円高い。
 敵基地攻撃能力と地上イージスをはじめとするミサイル防衛(MD)システムのいずれを選択する場合でも、弾道ミサイルなどの攻撃目標を正確にとらえる早期警戒衛星の活用が不可欠。日本が独自に保有すればさらに年間850億円の費用が上乗せされる。
 武田氏は「敵基地攻撃は防衛の効果は高いものの専守防衛の考え方に抵触する恐れがあるので、兵器コストだけでなく世論を説得する政治コストも生じる可能性がある」と指摘した。(山口哲人)

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