清瀬のハチ「密」 市営養蜂20万匹に 大豊作!?で新商品も 新宿のデパートでジェラート発売

2020年8月27日 07時06分
 清瀬市役所の屋上で市職員が自らミツバチを育て、生産したハチミツが悲願の「都心進出」を果たした。市のハチミツを使ったジェラートが26日、新宿高島屋で発売されたのだ。今季は、外国人助っ人の登場でハチの数が約20万匹に倍増。3密を避ける人間界をよそに、巣箱は蜂やハチミツで「密」に。市営養蜂7年目で最大の「大豊作」への期待が膨らんだが、その結末は…。
 新宿高島屋の地下食料品売り場の一角。ジェラート店「ジェラテリア・パンチェーラ」の店頭に新商品「はちみつチーズジェラート」=写真=がお目見えした。同店が清瀬市から供給されたハチミツを使い、開発した。
 経営者の藤巻貴宣さん(47)は「清瀬のハチミツはくせのない、上品な味わいが特徴。試行錯誤の末、コクのあるチェダーチーズジェラートとの絶妙な配合ができ、商品化にたどり着けた」と話す。
 三十一日までは、はちみつチーズジェラート五個と清瀬市産ハチミツの瓶詰「Kiyohachi(きよはち)」(五十グラム入り)のセットを二千八百円で販売。九月一日からの売り方は検討中。加えて同日から清瀬市と東久留米市内のセブン−イレブン十五店舗で単品販売(一個三百九十八円)もする。
 ジェラートに原料を提供できたのは、ある外国人助っ人の存在が大きかった。

市役所の屋上でミツバチの成育状況を確認するリン・ジェンキンスさん(右)(6月中旬に撮影)

 長い梅雨が明けた八月上旬、市営養蜂チームのリーダー、海老沢雄一さん(50)はしたたり落ちる汗をぬぐいながら、米国人のシステムエンジニア、リン・ジェンキンスさん(48)への感謝を口にした。今年二月から六月下旬に米国に帰国するまで、ボランティアで養蜂を手伝ってくれた。実家がかつて養蜂事業を営んでいたため、子どものころから養蜂に親しんできた経験豊かな助っ人だった。
 「農地も多く、自然環境に恵まれた清瀬市だから、ハチの数は増やした方がいい」。ジェンキンスさんのそんな助言に従い、巣箱の数を大幅に増やすことにした。運良く暖冬で、多くのミツバチが無事に越冬していた。巣分けを繰り返すとおもしろいようにハチの数が増え、昨年は八箱だったのが春先には十四箱に。ハチが増えれば、当然、世話をする手間も増え、海老沢さんらの作業時間も二倍になったそうだが。
 今季のハチミツの収穫は幸先良いスタートを切った。五月単月で昨年の総収穫量六十八キロに迫る六十キロが採れ、「二百キロも夢ではないかも」と期待が高まった。収穫量アップの見通しがたったところにジェラートの大口案件が舞い込んだ。「ジェンキンスさんが神様に見えた」と海老沢さん。

巣箱が増え、仲間が約20万匹に倍増した清瀬のミツバチ=清瀬市役所の屋上で

 ただハチミツのように甘い話は長くは続かない。六月、想定外に長い梅雨がやってきた。降雨の間、巣箱のミツバチたちは動きを止める。梅雨が明けるころ、巣箱を確認しに屋上へ上がった海老沢さんは、がくぜんとした。ミツがほぼ消えてなくなっていたのだ。ミツバチたちが食べ尽くしたらしい。増えたハチたちは、食欲旺盛だった。海老沢さんのもくろみは外れ、今季の収穫は、昨年よりやや多い八十キロ程度で終わりそうだ。
 問い合わせは同市営繕係=電042(497)1841=へ。
 文・花井勝規/写真・淡路久喜、花井勝規
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