<ふくしまの10年・コットン畑は紡ぐ>(13)理念評価され自信の起業

2020年8月27日 07時21分

昨年4月に株式会社「起点」をつくった酒井悠太さん(左)と、コットン栽培担当の金成清次さん=いわき市で

 東京電力福島第一原発事故による耕作放棄地などで、オーガニックコットン(有機栽培綿)を作る。いわき市の吉田恵美子さん(63)が中心となって二〇一二年に始めたプロジェクトは、さまざまな形に枝分かれし始めている。
 吉田さんのもとでコットン製品の製造や販売などを手掛けてきた酒井悠太さん(37)は昨年、独立して株式会社「起点」をつくった。
 一二年、契約社員として勤めていた地元の工場から契約を解除された。中学高校の同級生から「おてんとSUNが事務職員を募集しているよ」と聞いた。
 当時、吉田さんは再生可能エネルギー普及に取り組む島村守彦さん(62)=第八回に登場=らとともに「持続可能な未来」に向けて、いわきおてんとSUNプロジェクトを始めていた。酒井さんはこのプロジェクトを担う企業組合に入った。
 腰掛け程度で勤めた後、転職するつもりだったが、英国に拠点を置く化粧品ブランドLUSHとの仕事が転機となった。国産のオーガニック素材であることが評価され、手ぬぐいが日本の店舗で販売された。理念が評価されるという自信につながった。
 復興の延長ではなく、ブランドとして、ビジネスとして、勝負したいという気持ちが強くなり独立を決めた。いわきおてんとSUN企業組合から綿を購入しているが、独自に畑を確保し、会社としても栽培を始めた。
 行政や企業を巻き込み、ボランティアに支えてもらう吉田さんの手法とは違う。大げんかもしたことがある。それでも、自分のことを「年の離れた戦友」と言ってくれたインタビュー記事を読んだ時はうれしかった。自分のやり方で、コットンを次世代に残していくことが恩返しだと考えている。
◇ご意見はfukushima10@tokyo-np.co.jpへ

関連キーワード


おすすめ情報

ふくしまの10年の新着

記事一覧