詩人・三好達治の絶筆「春の落葉」 直筆原稿が東京都内で見つかる

2020年8月27日 13時50分
三好達治の絶筆「春の落葉」の下書き(福井県ふるさと文学館提供)

三好達治の絶筆「春の落葉」の下書き(福井県ふるさと文学館提供)

  • 三好達治の絶筆「春の落葉」の下書き(福井県ふるさと文学館提供)
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 詩人・三好達治(1900~64年)の絶筆となった「春の落葉」の直筆原稿が東京都内で見つかった。三好が亡くなる5日前に書かれた詩で、何度も書き直すなど推敲を重ねた跡が見られる。福井県ふるさと文学館(福井市)で9月22日まで公開している。(藤井雄次)
 発見されたのは原稿用紙3枚。生誕120年に合わせた今回の展示に先立ち、同文学館学芸員が昨年9月に都内の三好の親族宅を訪ねた際に見つかった。今年3月、県が譲り受けた。筆跡などから直筆と断定した。三好は太平洋戦争中、雄島村(現在の福井県坂井市三国町)に疎開しており、福井県とゆかりがある。
 原稿の1枚目は下書き、2、3枚目は清書とみられる。下書きはかすれた鉛筆書きで、二重線で消した横に書き直した言葉が多数見られ、作詩の苦労が見て取れる。清書では原稿を赤や青色で校正しており、三好自身が編集用に書き加えたものもあるとみられる。
 「冬のあと 河の中洲の春の昼 春の落葉 もうそこの 夏の用意に葉を降らす…」と記す叙情詩。雑誌「小説新潮」の64(昭和39)年6月号で絶筆作として発表されたが、直筆原稿の行方は分かっていなかった。
 三好は64年3月31日に「春の落葉」を書き上げた後、翌日の祝宴に出掛け、夜は文人仲間らと酒を酌み交わした。2日後に狭心症で倒れ、4月5日に心筋梗塞などで死去した。中野重治や川端康成、三好に見いだされた谷川俊太郎さんら多くの文人らが追悼文を発表している。

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