【検証】大江戸線がうるさい? 実際に測ってみました【動画あり】

2020年8月27日 21時19分

他の路線よりも車両が小さい大江戸線(東京都交通局提供)

 コロナ対策で電車やバス車内の窓開けが広がる中、大江戸線の乗客から「走行音がうるさい」と苦情が相次いでいる。本紙が音の大きさを測定すると、10カ所以上でパチンコ店内を超える値を示した。「ローラーコースター」と称されるほどカーブや起伏が多い大江戸線。開業時から指摘されていた騒音の大きさが、コロナ禍でクローズアップされている。(加藤健太)
 8月中旬の日中、騒音計を手に座席に座った。換気のため窓が15センチほど開いている。「ゴォー」「キィー」という走行音が響き、車内アナウンスは聞き取れない。停車時に70デシベルだった数値は、パチンコ店内の目安とされる90デシベルどころか、100デシベルを何度も超えた。

◆「鼓膜が破れそう」

 通勤で使っている会社員本田靖司さん(49)は「うるさいからと、大声で飛沫を飛ばしながら会話するカップルを見かけた。感染防止のためなのに本末転倒では」と首をかしげる。会員制交流サイト(SNS)でも「鼓膜が破れそうなくらい」「大江戸線だけレベルが違う」と投稿が止まらない。都交通局に届く苦情は、鉄道各社で定めたガイドラインに沿って3月初旬に窓開けを始めて以降、他の都営3路線が0~2件なのに対し、大江戸線は16件と突出している。

換気のため窓が開けられた大江戸線の車内(東京都交通局提供)

◆騒音は開業以来の課題

 大江戸線の騒音は今に始まったわけではない。安全対策推進課の野沢正幸課長は「他の都営線よりもうるさいという意見は以前から届いていた。騒音は大江戸線特有の課題」と話す。
 都交通局によると、カーブや下り坂では摩擦音が出やすく、大江戸線はそうした箇所が他の都営線よりも多い。その上、トンネルも狭いため反響しやすい。今回の測定でも、下りながら曲がる落合南長崎―中井間で120デシベルに達したのをはじめ、レの字のように鋭角に曲がる中野坂上―西新宿五丁目間や、カーブが続く赤羽橋ー汐留の区間などで100デシベルを超えた。

◆過密な地下を通す秘策

 とはいえ、大江戸線を責めてはかわいそうな事情もある。騒音の原因になるカーブやアップダウンがないのが一番だが、大江戸線が全線開業した2000年、すでに東京の地下には他の路線が張り巡らされていた。それらの合間を縫って線路を引かなければならず、カーブや起伏は避けられなかった。
 特に都心の地下では、高層ビルや首都高の基礎も入り組み、通常のトンネルの規格では狭い空間を通せない。そこで、トンネルの内径を小さく設計した。トンネルが小さいので、車体も小さい。座ると向かいの人とつま先が触れてしまいそうなくらい車内が狭いのは、そのためだ。

◆ニューフェースの宿命

 こうして、地下深くを縦横無尽に走り抜ける大江戸線が誕生した。都交通局も「東京ローラーコースター」と名付けたPR動画をネット上で公開。急カーブやアップダウンが連続するトンネル内の様子が分かる。
 騒音と切っても切り離せない関係にあるのは、さまざまな制約を受けながら誕生したニューフェースの宿命か。都はレールの凹凸を削ったり潤滑油を塗ったりと、他の路線よりも入念な対策をしているが、騒音はゼロにはならない。一方、お客さまサービス課には「窓が閉められている」と、耳が痛くなる意見も寄せられている。笹森竜太郎課長は「感染防止のため窓開けを優先せざるを得ない」と理解を求めた。

都営大江戸線 浅草、新宿、三田の各線とともに東京都が営業する地下鉄。都庁前~光が丘の40.7キロを6の字の形に結ぶ。1日当たりの乗車人員は都営4線で最も多い約98万人。六本木駅は地下鉄駅としては日本一深い地下42.3メートルにある。

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