東京都の感染通知、効果イマイチ 「見守りサービス」参加ためらう店も

2020年8月28日 06時00分

「東京版新型コロナ見守りサービス」に登録するQRコード。参加店舗のほか都立の施設にも掲示されている=都庁で

 飲食店などでの新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)発生情報を、利用者のスマートフォンに通知する東京都の「店舗型東京版新型コロナ見守りサービス」に、開始から約2カ月で数万の店舗が参加し、延べ利用者が16万人を超えた。都は参加店と利用者の拡大を目指すが、風評被害を気にしてかサービス参加をためらう店もあり、どこまで広がるかは未知数だ。 (小倉貞俊)

◆店側は風評被害を懸念

 見守りサービスは6月27日にスタートした。「KDDI(auPAY)」「PayPay」といった、都が協力企業に選んだ5社のキャッシュレス決済などのシステムを利用する店舗が参加している。利用希望者はスマホのキャッシュレス決済アプリに登録するか、店の入り口に掲示された二次元コード「QRコード」で登録。クラスター(疑い事例を含む)が発生したら、店が協力企業に連絡し、メールや無料通信アプリLINE(ライン)を通じて、利用者のスマホに店名などが通知される。
 一部の協力企業は参加店舗数を公表していないが、都の担当者は「当初の目標の3万店舗はクリアしているはず」と話す。感染拡大防止には参加店舗をさらに増やす必要がある。ただ、ある協力企業の担当者は「各店舗に見守りサービスへの参加をお願いしているが、(店名が出ることでの)風評被害を気にしてか、なかなか了承してもらえない」と実情を明かす。

◆「会食」感染700人も通知実績なし

 通知するかどうかの判断が、参加店舗に任されているという課題もある。都内では7月以降に感染経路が「会食」とされた人が約700人おり、このサービスの参加店でクラスターが発生した可能性もあるが、今のところ通知実績はない。別の協力企業担当者は「実際にクラスターが起きても強制力がないため、連絡をくれるかどうかは店次第」と難しさを語る。
 都は「いかに実効性を高めるか模索していきたい」としている。
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◆通知サービス、首都圏では茨城、埼玉、神奈川も導入

 新型コロナのクラスター発生などを通知する自治体独自のサービスは、首都圏では茨城、埼玉、神奈川の3県でも導入している。

◆茨城は45人が感染通知 登録義務化へ

 茨城県の「いばらきアマビエちゃん」は、都と同じ6月下旬にスタート。飲食店など約2万200事業者が登録し、延べ約15万3000人が利用。これまでに、感染者と同じ日に同じ施設を訪れた利用者延べ45人に、感染情報を通知した。
 県は事業者に登録を義務付ける方針で、9月の県議会に条例案を出す予定。罰則はないが、利用者にも入店前にスマホへの登録を求める。条例案への意見公募には義務化反対の声もあるといい、県の担当者は「権利の制限につながるので、賛否両論は分かっている。ただ、努力規定では効果に疑問があり、経済活動維持と感染防止の両立に一歩踏み込んで取り組む姿勢を示したい」と話す。

◆神奈川、埼玉は通知の事例なし

 神奈川、埼玉両県は25日時点で、県民に感染情報を通知した事例はない。両県は感染が判明しても、保健所が必要と判断しなければ通知をしない。
 神奈川県の担当者は「乱発すれば無用な混乱や風評被害を招く恐れがある」。埼玉県の担当者は「従来の調査で分からなかった濃厚接触者を掘り起こせる可能性がある」としつつ、「登録店舗や利用者を増やさなければ効果は出てこない。周知に課題を感じている」と話す。
 国も感染者との接触確認アプリ「COCOA」を運用している。自治体のシステムが「場所」の訪問履歴を使うのに対し、「人」の接触情報をたどる仕組みだ。アプリの利用者同士が一メートル以内に15分以上いた場合、スマホに接触記録が残る。19日で公開から2カ月になり、登録数は国内人口の1割強に当たる1300万件。 (小野沢健太)

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