赤羽の出版社「朝鮮人虐殺 書店から伝えて」 関連本のフェア呼び掛け 

2020年8月28日 07時14分

書店「Readin’ Writin’」でブックフェアについて説明する木瀬代表=台東区で

 関東大震災が発生した9月1日を前に、震災時の朝鮮人虐殺を知ってほしいと、北区の出版社「ころから」(赤羽1)が関連本のフェア開催を書店に呼び掛けている。大震災ではデマにより多くの朝鮮人らが犠牲になっており、ころからの木瀬貴吉代表(53)は「書店から史実を伝えてほしい」と訴えている。 (砂上麻子)
 木瀬さんがフェアを提案した背景には、韓国人や中国人に対するデマや差別を助長するヘイトスピーチやヘイトデモなど、排外主義の風潮への危機感がある。「民族という属性だけで判断して、簡単に『殺す』と叫ぶ。恐ろしい軽さがある」と現状を憂慮する。
 一九二三年九月一日の関東大震災では、「朝鮮人が井戸に毒を入れた」などのデマが広がり、自警団や軍隊、警察により多数の朝鮮人らが殺傷された。国の中央防災会議の報告書は、震災の死者・行方不明者約十万五千人の1〜数%が虐殺の犠牲者だとしている。ここ数年、朝鮮人虐殺を否定する動きや本も出版されている。
 ころからは、朝鮮人虐殺の事実を人々の手記や当時の刊行物から浮かび上がらせた「九月、東京の路上で」や「TRICK−トリック『朝鮮人虐殺』をなかったことにしたい人たち」などを出版してきた。
 開催を促す「天災のち人災 関東大震災から学ぶブックフェア」では、他社が出版した大震災に関した本も紹介し、販売してもらう。
 参加するのは、台東区の書店「Readin’ Writin’(リーディン・ライティン)」(寿二)、小金井市の「くまざわ書店武蔵小金井北口店」(本町五)や群馬県内の書店。
 ころからではブックリストも作成。どんな本を置けばいいか分からない書店を側面から支援し、さらに数を増やしたい意向だ。
 木瀬さんは「朝鮮人虐殺は天災のあとに起こった人災。最大の防災は、災害時のデマの発生を許さないことで、負の歴史から学んでもらいたい」と訴える。
 歴史を伝えるには書店の役割も大きいと指摘し「書店は誰もが入れる準公共的な場であり、情報を伝えるメディアでもある。歴史を伝える場であることを示してほしい」と強調する。
 フェアなどの問い合わせはころから=電03(5939)7950=へ。

◆反差別活動の谷口さん「小池知事は追悼文を出すべき」

 関東大震災の朝鮮人虐殺に関しては、日朝協会東京都連合会など実行委が毎年9月1日、都立横網町公園(墨田区)で追悼式を営んでいる。
 歴代都知事が追悼文を送ってきたが、小池百合子知事は2017年から見送っており、今年も方針を変えていない。こうした姿勢に、今月22日には都庁前で追悼文を出すよう求めるデモがあり、約50人が参加した。
 反差別活動を続ける自営業の谷口岳さん(50)は、ツイッターで「#小池百合子は9月1日に追悼文を送れ」と、ハッシュタグ付きで投稿するよう呼び掛け「都知事は『差別は間違っている』というメッセージを伝えるためにも追悼文を出すべきだ」と主張する。
 このほか、9月1日に犠牲者へのメッセージの投稿を促す「#私は追悼します」というハッシュタグも広がっている。

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