川越の文化情報誌「小江戸ものがたり」 8年ぶりに発行再開

2020年8月28日 07時17分

表紙イラストにもファンが多かった「小江戸ものがたり」。バックナンバーも購入できる

 川越市の文化情報誌「小江戸ものがたり」十四号(川越むかし工房、六百六十円)が八年ぶりに発行された。二〇〇一年創刊の同誌は、川越にゆかりのある文化や歴史をていねいに取材し、人物に焦点をあてた記事で紹介してきた。編集発行人の藤井美登利さん(59)は「コロナ禍で遠くに出かけられなくても、時間軸でタイムスリップすると、知らなかった川越に出合えますよ。そんな時間旅行のガイドブックです」と話す。 (中里宏)
 藤井さんはNPO法人「川越きもの散歩」の代表理事も務め、小江戸・川越の着物による町おこしも担ってきた。一二年夏の十三号発行後、県の絹文化・織物の継承を目指す「さいたま絹文化研究会」に参加。一四年からは県嘱託職員として、専門知識を持つボランティアと行政、企業などとのマッチングを行う「共助仕掛人(しかけにん)」を六年間務めてきた。
 幅広く活動する間も取材は続け、一六年には県内各地の織物や染め物に携わる人と歴史を紹介する「埼玉きもの散歩」を出版。今年三月に県を退職したのを機に、「小江戸ものがたり」を再開することになった。
 十四号の巻頭は、川越出身の洋画家、近藤洋二(一八九八〜一九六四年)を特集。生い立ちから上海、パリ、浦和、駒込林町(現東京都文京区)と足跡を追った。詩人の金子光晴と交流した、上海に今も残る往時の建物群もカラー写真で紹介。「取材に足掛け三年かかった」という。
 また、昨夏に取り壊された明治の芝居小屋建築、旧鶴川座の歴史もたどった。一九六〇年代に映画館だった鶴川座で、当時は珍しい女性館主だった内河悦子さん(故人)に十五年前にインタビューした貴重な証言も掲載している。藤井さんは「建物が壊されると記憶も薄れてしまう。せめてもの気持ちで鶴川座の年表をつくった。ステイホームだからこそできた」と話す。
 販売は川越一番街の書店「本の店太陽堂」、ネット通販「小江戸まるまる屋」など。問い合わせは「川越むかし工房」=電049(223)8587=へ。次号は来年春の発行を目指すという。

8年ぶりに「小江戸ものがたり」を再開した藤井美登利さん=川越市で


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