コロナ情報が行き届きにくい難民に…支援団体が啓発ポスターのデザインを募集

2020年8月28日 13時50分

AARがトルコ・シャンルウルファで運営するシリア難民向けのコミュニティセンター。センターは新型コロナの影響で3月中旬から閉鎖している=2018年11月撮影、難民を助ける会提供

 新型コロナウイルスの感染拡大が世界各地で続く中、難民・避難民の支援にあたっている認定NPO法人「難民を助ける会(AAR Japan)」が、ウイルスの危険性や感染防止策などの情報が行き届いていない難民らに注意を呼び掛ける、啓発ポスターのデザインを募集している。 (藤川大樹)
 1979年に発足したAARは現在、バングラデシュやシリア、ウガンダ、ザンビアなど計16カ国で、地雷・不発弾の除去支援や感染症対策、障害者支援などの事業を行う。
 AARによると、各地の難民居住区は衛生状態が悪く、医療体制も整っていないため、感染の危険にさらされている。新型コロナに関する情報も十分に行き届いていないという。
 そこで、子どもから大人まで、言葉が分からなくても理解できるよう、視覚に訴えるポスターの作製を企画。優秀作品はバングラデシュやトルコなどの難民居住区の学校や集会所などに掲示したり、各家庭に配布したりする予定だ。
 柳瀬房子会長は「(難民らに)注意喚起を促すだけではなく、日本や欧米の人たちがポスターを描くことで、『難民キャンプはどんな状況なのだろうか』『マスクはあるのかな』などと、思いを寄せる機会になってほしい」と願っている。
 新型コロナの影響で仕事が減ったアーティストらを支援する意味を込め、最優秀賞には30万円などの副賞も用意した。締め切りは10月3日。応募資格や作品の規定など詳細はホームページに掲載している。問い合わせは、AAR=電03(5423)4511=へ。

シリア難民向けに新型コロナウイルスなどに関する情報をアラビア語で伝えるAARのホームページ

◆トルコに住むシリア難民、失業など経済的影響も

 2011年から続くシリア内戦を逃れた難民ら約360万人が暮らすトルコ。AARによると、シリア難民の98%以上は、難民キャンプではなく、街中の住居を自分で借りて生活している。
 難民たちは農場や工場、建設現場、レストランなどで不法就労しているケースが多く、AARトルコ事務所の景平義文代表は「新型コロナウイルス感染拡大の影響を最も受けているのがサービス業だ。難民たちにも、職を失うなどの経済的な影響が出ている」と説明する。
 また、新型コロナに関する情報などはトルコ語で発信されるため、アラビア語を母語とするシリア難民は不安を抱えているという。
 AARでは、難民らの生活を支援するため、1世帯あたり約1万円の電子マネーを、4000世帯に配布。新型コロナの予防方法や公的サービスの最新情報などをアラビア語に翻訳してホームページに掲載するといった支援も行っている。
 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、迫害や紛争の影響で国外に逃れた難民や、国内で居住地を追われた避難民らは昨年末時点で7950万人に上るという。

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