20年度予算案 県債残高は過去最高 県民1人当たり借金67万円

2020年2月7日 02時00分
 県は六日、二〇二〇年度の一般会計当初予算案を発表した。同年度末の県債残高は一兆二千九百八十二億円(前年度末比四十六億円増)と過去最高を見込み、県民一人当たりの借金は約六十七万円。就任後初めての当初予算となる山本一太知事は財政改革に着手したものの、大沢正明前知事が公共事業を推進したことなどにより生み出された重荷が負担となり、次世代に過大な借金が積み重なっている。 (菅原洋)
 県債残高の内訳は、財政難の国が地方交付税を支給できず、後に充当する「臨時財政対策債」(臨財債)が過去最高の五千六百四十億円に膨らむ。公共事業などに伴う「その他の県債」は減るが、過去の起債全体が残高を押し上げる。
 一般会計の総額は約七千四百五十一億円(前年度当初比0・8%減)と八年ぶりに減少する。
 歳入のうち、県債は単年度の発行額を九百六十五億円(同14・2%減)と抑制する。いずれも大沢前知事の推進により、高崎市に今春開業する集客施設「Gメッセ群馬」や、長野原町に整備中の八ッ場ダムの建設終了が主な要因だ。
 他の歳入では、県税収入が二千四百六十五億円(同0・6%増)となる。
 一方、歳出では、少子高齢化の進展や幼児教育無償化などに伴い、社会保障関係費が千六十九億円(同3・3%増)と過去最高になる。公共事業費を含む投資的経費はGメッセ群馬や八ッ場ダムの建設終了などに伴い、過去十年で最低の九百七十四億円(同23・3%減)に抑制する。
 山本知事は県産材を使用した住宅建設に対する補助など二百四十二件の事業を見直し、総額では十三億六千万円を節減したという。
 山本知事は六日の記者会見で「思い切った事業の見直しで、財政改革の一歩を踏み出した」と述べた。

◆厳しい財政に知事危機感 医療、福祉、教育…予算減少の恐れも

<解説> 山本一太知事が財政改革に踏み出したのは、県債残高が過去最高を更新し続け、県の貯金である積立基金が中期財政見通しで当初予算編成後に枯渇するなどの厳しい財政状況に対し、強い危機感を抱いていることが背景にある。
 中期財政見通しを基にした試算によると、県債残高は今後も膨張し続け、二〇二四年度末は過去最高の一兆三千五百五億円に上る。
 県債残高を押し上げている臨時財政対策債は、国の借金を県が肩代わりしている形だが、国は臨財債の返済費用をひねり出すため、新たに借金を抱えている。このため、結局は国民の借金として県民に負担が跳ね返るだろう。
 県債残高の膨張は、将来的に返済に予算が割かれ、医療・福祉、教育・子育てなど県民に大切な予算が減少する恐れがある。
 一方、中期財政見通しでは、今後の四年間は毎年二百億円前後の財源不足を予測し、基金残高は毎年なくなるとみている。
 今回の当初予算案では、基金は五十二億円(前年度当初比三十七億円増)を確保。しかし、基金は大規模災害などに備える財源であり、山本知事は六日の記者会見で「まだ近隣県より少なく、百億レベルにいけるようにしたい」と述べた。
 山本知事の財政改革は一定の評価はできるが、県債発行額や投資的経費の大幅な減少は、大沢正明前知事が進めた大型公共事業の終了に伴う面が大きい。財政改革はこの効果がなくなる次の当初予算案が正念場と言え、抜本的な改革に向けて一段と踏み込む必要がある。 (菅原洋)

関連キーワード


おすすめ情報