「米国の夢か社会主義か」二者択一迫る トランプ氏指名受諾演説「法と秩序」の維持強調

2020年8月29日 05時55分
27日、ワシントンで、ホワイトハウスでの演説を終え、家族とともに拍手するトランプ大統領(右から3人目)=AP

27日、ワシントンで、ホワイトハウスでの演説を終え、家族とともに拍手するトランプ大統領(右から3人目)=AP

  • 27日、ワシントンで、ホワイトハウスでの演説を終え、家族とともに拍手するトランプ大統領(右から3人目)=AP
 【ワシントン=金杉貴雄】トランプ米大統領は共和党大統領候補としての指名受諾演説で、「アメリカンドリームを救うか、社会主義を許すかが決まる」と民主党のバイデン前副大統領との二者択一を迫った。全米で広がる人種差別の反対デモに対しても、差別解消ではなく「法と秩序」の維持を強調、分断が深まる米国を象徴する演説となった。

◆「バイデン氏=左派」イメージづくりに躍起

 「米国は暗黒の地ではない」。トランプ氏は演説で、バイデン氏が民主党大会の演説でトランプ政権での米国を「暗黒」と表現したことに反論。逆にバイデン氏が政権を握ると米国は「無秩序な社会主義になる」と決め付け、「急進左派が米国中の警察を解体する。左派が郊外を破壊する」などとも批判した。
 その一方で「法を守るか、無政府主義者や犯罪者に自由を与えるか」「米国人の生き方を守るか、その生き方を完全に破壊する急進的な運動を許すか」の選択を有権者に突きつけた。
 トランプ氏が脅すように不安をあおるのは、4年前に勝利した原動力となった白人労働者や郊外の白人女性の支持が、バイデン氏に流れる兆候があるからだ。支持者の離反を食い止めるため、「バイデン=左派」のイメージづくりに躍起となっている。

◆差別解消への言及なし

 全米の差別反対デモに対しては、一部暴徒化を批判した上で「国内で最も危険な上位10都市は民主党が行政を握っている」と強調。「法と秩序を保つ」と訴えたが、差別問題への取り組みへの言及はなかった。
 トランプ氏は4年前の指名受諾演説でも、当時の政権を握っていた民主党の大統領候補ヒラリー・クリントン氏について「大企業や大口献金者の操り人形だ」と批判することで、自らへの支持を拡大させた。
 だが今回は、差別反対デモに共感を示さず暴力をあおっているとの批判が自らにはねかえっている。バイデン氏は27日の声明で「大統領であることを忘れたのか。われわれが目撃している暴力は、私ではなくトランプのもとで起きている。米国に人種問題があることさえ拒否し、自分の政治戦略のため全ての火に燃料を加えている」と非難した。
 新型コロナウイルス対応でもトランプ氏は成果を誇るが、現職大統領として「世界最悪の死者18万人」という重い現実への責任が突きつけられている。

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