「原発事故への反省ない」被災者ら憤り 安倍首相が辞任表明

2020年8月28日 21時06分
 「安倍首相は原発事故の被害者に向き合ってこなかった。もっと早く退陣してほしかった」。福島県相馬市で鮮魚店を営む中島孝さん(64)は言い切った。東京電力福島第一原発事故を巡り、国と東電に損害賠償を求める訴訟で、約4500人の原告団の団長を務めている。
 事故で居住が制限された地域の解除は進み、賠償が打ち切られた。「国が進めた原発で事故が起きたことへの反省もなく、エネルギー基本計画で原発を重要な電源として再稼働を進めている」と強く批判した。

タンク約1000基が立ち並ぶ福島第一原発=福島県大熊町で(本社ヘリ「おおづる」から)

◆「アンダーコントロール」発言で不信感

 被災者の不信感を高めた首相の発言がある。2013年9月、東京五輪招致に向けた国際オリンピック委員会(IOC)総会の場で「(原発事故の状況は)コントロールされている」と述べたことだ。

2013年9月、IOC総会で福島第一原発の汚染水漏れについて「状況はコントロールされている」と話す安倍首相=ブエノスアイレス(共同)

 原発事故後に同県田村市常葉町の自宅から避難し、東京都内で一人暮らしをする熊本美弥子さん(77)も、この発言に憤った。「放射線がなくならず、困ったまま避難を続けている人がいる」と怒りを隠さない。
 首相は国政選挙のたびに第一声で福島を訪れ、「福島の復興なくして、日本の再生はない」と訴えた。だが、突然の避難で仕事を失った避難者は非正規の職で暮らす人が多く、コロナ禍が追い打ちとなっている。支援団体「避難の協同センター」には、被災者から「家賃の負担が大きい」などの悲鳴が今も届く。 (福岡範行、片山夏子)

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