台風被害から1年…遅れる住宅修理 千葉南部、応急制度申請も

2020年8月30日 05時50分

屋根瓦の修理を進める男性。屋根の一部にはブルーシートが残っていた=7月31日、千葉県南房総市で


 昨秋の台風15号や19号などで被災した東日本の12都県で、災害救助法に基づく応急修理制度の利用を申請した被災住宅約2万1000件のうち、修理の終わっていない住宅が今月1日時点で2割の約4000件に上る。台風15号の強風で多くの住宅が被災した千葉県南房総市では、新型コロナウイルスの影響に伴う業者不足もあり、特に修理が遅れている。台風シーズンを控え、住民は「今度、台風が来たらどうなるのか」と不安の声を漏らす。(山口登史、写真も)
 梅雨明け直前の7月31日、南房総市千倉町ちくらちょう白間津の新藤和男さん(71)方では、市内の建設業者が屋根瓦の修理を進めていた。昨年9月の台風15号では木造平屋住宅の瓦150枚が飛ばされた。応急処置のブルーシートは、その後も強風で何度も張り直した。
 地元業者による新藤さん方の屋根の修理が始まったのは今年6月中旬。長梅雨の影響でたびたび中断し、本格的に修理が始まったのは7月半ばだった。新藤さんは「台風シーズン前に工事をしてくれて助かった」とほっとした表情を見せた。
 新藤さん方の修理に携わった南房総市内の瓦業者には被災直後から修理の依頼が殺到。最大30人待ちという状態が昨年冬ごろまで続き、多くの依頼を断ってきた。業者の70代男性は「申し訳ない気持ちもあるが、手が回らなかった。新型コロナもあってとにかく人がいない」と漏らした。
 自宅屋根がブルーシートで覆われたままの同県鴨川市北小町の鈴木悦子さん(57)は7月31日、ボランティアによるブルーシートの修繕作業を見つめながら、不安を口にした。「今度大きな台風が来たらどうなってしまうのか」
 応急修理制度は、住宅の応急的な修理費を被害程度に応じて国などが一部補助する。内閣府によると、千葉、宮城、福島、長野などの12都県で応急修理申請件数は8月1日時点で約2万1000件。このうち修理が完了したり支給金額が確定しているのは約8割の約1万7000件となっている。
 多くの都県は、9割以上で応急修理を終えているのに対し、台風15号で強風による住宅損傷が相次いだ千葉県では約6000件の申請に対し、工事を終えるなどしたのは約3500件と6割弱にとどまる。
 修理が遅れている要因を、内閣府の担当者は「全国的な業者不足に加え、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛や移動制限により、広域的に活動しにくくなっている」と話す。千葉県住宅課の担当者は「被害の大きい県南部では地元業者に修理を依頼するケースが多く、時間がかかっている」と分析する。

 応急修理 応急修理被災住宅の修理費を国などが補助する制度。上限額は物価変動などを考慮して決められ、昨秋の台風では半壊以上は1世帯あたり最大59万5000円、準半壊(損害割合10%以上20%未満)は同30万円。

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