バンクシー、私財で地中海の難民救助 ピンクの船に「風船と少女」新バージョン

2020年8月31日 05時55分

28日、イタリア南部ランペドゥーザ島の南の地中海上で、バンクシーが購入した船に乗る人=AP・共同


 【ロンドン=沢田千秋】英国の正体不明のストリートアーティスト、バンクシーが私財で船を購入して地中海での難民救助に乗り出した。29日に写真共有アプリ「インスタグラム」に投稿した動画には、有名なモチーフ「風船と少女」の新バージョンが描かれたピンク色の船が登場。欧州諸国の受け入れ拒否で死者が後を絶たない難民問題に注目を促している。
 インスタグラムによると、バンクシーは作品の売り上げで全長約30メートルのフランス海軍船舶を購入し、救助船「ルイーズ・ミシェル」に改造した。理由は「欧州当局が欧州以外の人々からの救難信号を故意に無視しているからだ」とし、海中から助け出される難民の映像を使用。最後に「すべての黒人の命は大切だ」とメッセージを送った。
 ルイーズ・ミシェルはすでに地中海で救助活動を開始。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、30日午前(日本時間同日夜)時点で、ルイーズ・ミシェルを含む3隻に約350人の難民が乗っているが、上陸できる港は見つかっていない。船上で3週間過ごすリビアからの難民も含まれている。
 ルイーズ・ミシェルはツイッターで難民の遺体も収容したとして、「これ以上は乗せられない。すぐに港を開けて」と投稿。UNHCRは、商業船の上陸手続き不備などを理由に難民を受け入れない諸国を「国際法に照らし、助けが必要な人々への安全な港と支援を拒否する言い訳にならない」と非難している。国連によると、今年に入り北アフリカから地中海を渡ろうとして死亡したのは443人。同期間に4万人が船で欧州に上陸した。

関連キーワード

PR情報

主要ニュースの新着

記事一覧