妻と長男にコロナ感染で「罪悪感」 40代男性、今も戻らぬ日常

2020年8月31日 05時50分
 「気付かないまま感染させてしまった。家族に対して罪悪感がある」。4人家族のうち3人の感染が今月判明した名古屋市の会社員男性(45)が、本紙に体験を打ち明けた。新型コロナウイルスの感染再拡大で都市部を中心に感染者の自宅療養も増えており、大切な家族をどう守るのか、あらためて問われている。(今村節)

◆「夏風邪」のはずが…

感染防止のため、自室の学習机で一人で食事をとる長男=名古屋市内で(男性提供)

 男性は6日朝、発熱を感じたため会社を休み、市内の診療所を受診した。「コロナではなく、夏風邪です」と医師の診断を受け、帰宅。2日後には妻も発熱し、37・7度まで上がったが、診断を信じていた男性は「夏風邪がうつったのかな」と受け止めた。
 が、翌日になって妻が「食事の味がしない」と言い始めた。「もしかして…」。夫妻は自宅でもマスクを外さず、一緒に寝ていた高校生の長女は別室へ。歯磨き粉も1人1本に分けた。
 さらに次の日、今度は大学生の長男が38・5度の高熱を出した。男性は慌てて市の保健センターに電話をかけ、PCR検査を受けたいと申し出たが「今はいっぱいだから、すぐには無理」と断られた。長男も「牛乳が水の味しかしない」といい、不安が高まる。
 男性は市内の別の病院を受診して状況を説明。医師の勧めでもう一度保健センターに連絡し、ようやく検査を受けることができた。結果は3人とも「陽性」。男性の発症から9日が過ぎていた。男性の感染経路は不明だが、妻と長男は男性から感染した可能性が高いと告げられた。

◆飲み会は自粛したが…

 男性も何も対策を取っていなかったわけではない。3月から飲み会への参加を自粛。家族は外出時にマスクを着け、帰宅したら手洗いとうがいを欠かさなかった。「あれ以上、どうすればよかったのか、分からない」
 男性と妻、長男は1週間程度の自宅療養となった。以来、家族はバラバラに食事をし、会話もままならない。今は3人とも症状が無くなり、保健センターから「外出や出勤をしてもいい」と言われているが、濃厚接触者である長女は、来月3日まで外出自粛を求められている。
 「消毒液のにおいが、嫌になった」。男性はつぶやく。一家の日常は、まだ戻ってこない。

◆家庭内でも感染対策を

 国立病院機構三重病院の谷口清州・臨床研究部長の話 これまでの研究では、新型コロナの家庭内感染率は最大で20%程度。単純比較は難しいがインフルエンザは40%近いとの報告がある。感染者が増加すれば、病院と宿泊療養施設で全員を受け入れるのは難しく、自宅療養者は増える。家族と2メートルの距離をとり、近づくときはマスクをするなど、基本的な感染対策を徹底し、予防に努めることが重要だ。
表組み/家庭内感染を防ぐポイント

 ◆家庭内感染を防ぐポイント

○感染者専用の個室を確保し、寝食を別にする。確保できない場合は2メートルの距離を保ち、寝るときは頭の位置を互い違いにする
○感染者の世話は限られた人で行う
○使用したマスクをほかの部屋に持ち出さない
○トイレやドアノブなど共用部分は消毒液で拭く
○感染者の衣服などを洗濯する際は手袋とマスクを着用する
○感染者の入浴は家族の中で最後にする
※厚生労働省の感染管理対策から

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