令和の人生ゲームで目指すのは? 時代を映すおもちゃの世界

2020年8月31日 14時00分
 子どもたちが楽しく遊ぶおもちゃが、独自の進化を遂げている。例えば、テーブルゲームの定番「人生ゲーム」は億万長者を目指す遊びだったが、令和版では全く違うゴールに。同様に変化する子ども向け雑誌「幼稚園」の付録とともに、時代のライフスタイルを映す玩具の世界を調べた。(編集委員・谷野哲郎)

◆「令和版」で目指すのは…?

 ルーレットを回してマス目を進み、就職や結婚などのイベントを経て、億万長者を目指す。子どものころ、室内遊びの定番だった「人生ゲーム」が進化を遂げている。昨年6月に発売された「人生ゲーム+令和版」は、現代要素を取り入れ、お金ではなく、フォロワー数を競うバージョンが登場した。
 「令和版」の目標は、ズバリ世の中に影響力を及ぼす「トップインフルエンサー」になること。お札や職業カードはなく、動画や会員制交流サイト(SNS)を駆使し、より多くのフォロワーを獲得したプレーヤーが勝利する。斬新な発想が話題を集め、昨年の日本おもちゃ大賞コミュニケーション・トイ部門で優秀賞を受賞した。
 発売元のタカラトミー・ニュープロダクト事業部の池田源さん(45)は「おもちゃは時代を映す鏡。その時代のトレンドを常に意識した商品開発を心掛けています」と説明する。

◆アナログゲーム、コロナ禍で再確認された価値

 人生ゲームは1968年の発売以来、通常のスタンダード版と、それとは別に時流に合ったテーマ版を制作してきた。例えば、2003年発売の「ブラック&ビター」は就職氷河期を反映し、ほろ苦の内容に。変わるものと変わらないものを使い分け、売り上げを維持してきた。
 日本玩具協会によると、昨年度のおもちゃの国内市場規模は8153億円。一方、家庭用ゲームやスマホゲームといったビデオゲームの国内市場規模はゲーム雑誌「ファミ通ゲーム白書2020」によると、1兆7330億円。ゲーム機の圧勝を許さず、健闘している。
 手に取って遊ぶ玩具の根強い人気はどこから来るのか。池田さんは「実は、人生ゲームはコロナで巣ごもりになった3月ぐらいから売り切れが続出しまして。アナログゲームは家族のコミュニケーションツールだと再確認しました」。最新版は66作目。50年以上続く長寿玩具に学ぶことがありそうだ。

◆ATM、ガシャポン…リアルすぎる子ども雑誌の付録

 子ども向け雑誌の付録も大きく変わりつつある。小学館が発行する月刊誌「幼稚園」編集部の大泉高志さん(43)は「今のお子さんが喜ぶ最新情報、そしてリアルの追求を意識して作っています」と話す。
 雑誌の付録といえば、これまでヒーローのお面などが定番だったが、今は違う。9月1日発売の10月号は、コンビニで見かけるセブン銀行のATM。モーター内蔵で本物そっくりのお札が出てくる仕掛けで「触ってはダメと言われる子どもの要望に応えたかった」と大泉さん。ATMはこれが第2弾という。
 これまで「幼稚園」では常識外の付録を展開してきた。ゲームセンターに実在するメダル落としゲームや、カプセルトイが出てくるガシャポンなどが、ネット上で「豪華すぎる」「本物そっくり」と話題になった。昨年7月号の付録・セブンティーンアイスの自販機は売り切れが続出し、1931年の創刊以来、初めて重版がかかった。

 豪華な付録の裏には、企業とのタイアップという側面が見逃せない。メダル落としは「SEGA」と、セブンティーンアイスは「江崎グリコ」など、実際の企業とのコラボに成功。付録でありながら現実感が増した。
 大泉さんによると、出版不況で最盛期には30万部を超していた売り上げが、一時は8万部まで落ち込んだという。タイアップは18年にくら寿司と回るお寿司の機械を作ったのが最初で「この頃は売り上げ的に苦しく、何か違うことをしなければと決断した。結果的に企業から協力費も入るようになった」。
 令和時代の新しい付録の姿。大泉さんは「付録は完成品のおもちゃでないのが良いんです。子どもは1人では組み立てられないことが多い。親が付録を作るところを見て、『お父さん、すごい!』となったらいいですよね。親子の思い出づくりに使ってもらえればいいなと思っています」と話していた。

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